【2026年最新】ガソリン価格はなぜ不安定?乱高下する理由とEVという選択肢
2026年に入り、日本の燃料市場は激動の時間を過ごしています。2025年11月から段階的に行われた「ガソリン暫定税率廃止」による大幅な値下げが期待された一方で、現場では価格の激しい上下(乱高下)が続いており、多くの車両管理担当者がコスト管理に苦慮しています。
「税率が下がったはずなのに、なぜ値段が安定しないのか?」
「今後の見通しはどうなるのか?」
本記事では、2026年4月時点の最新状況に基づき、ガソリン価格が決まる仕組みや世界情勢の影響、そして燃料リスクを回避するためのEV(電気自動車)との比較について、詳しく解説します。
なぜガソリン価格は乱高下しているのか?
現在、ガソリン価格は「国内の減税要因」と「国際的な高騰要因」が複雑に絡み合い、綱引きをしている状態です。
暫定税率廃止による「値下げ圧力」
2026年1月、約半世紀にわたりガソリン価格を押し上げてきた「暫定税率(25.1円/L)」が廃止されました。これにより、理論上はリッターあたり約27.6円(消費税込み)の引き下げが実現しています。
実際に、資源エネルギー庁の石油価格調査データによると、暫定税率廃止の効果で2026年1月19日にはレギュラーガソリンの全国平均小売価格が154.7円/Lまで低下しました。これは2025年1月の185.1円/Lと比較して約30円もの下落であり、減税効果の大きさを如実に示しています。
世界情勢による「値上げ圧力」
一方で、3月に入り世界的な地政学リスクが再燃したことで、原油価格(WTI原油先物など)が急騰。さらに為替市場での円安進行が重なり、輸入コストが上昇しています。せっかくの減税分が、国際相場の上昇によって「相殺」されたり、再び押し上げられたりしているのが現在の乱高下の正体です。
2026年3月の価格急騰の直接的な原因となったのが、ホルムズ海峡の封鎖危機です。2月末に開始された米国・イスラエルによる対イラン軍事作戦を受けて、イランがホルムズ海峡の通航を事実上禁止しました。同海峡は平時において世界の石油消費量の約20%にあたる日量約2,000万バレルの原油が通過する最重要拠点であり、国際エネルギー機関(IEA)はこの事態を「過去最大の供給途絶」と認定しています。
この影響で、国際指標であるブレント原油はわずか1週間で約40%上昇し、一時126ドル/バレルに到達。日本のレギュラーガソリン価格も、3月16日に190.8円/Lと観測史上最高値を記録しました。
日本が特に大きな影響を受ける理由
日本は原油輸入の約95%を中東に依存し、そのうち約70%がホルムズ海峡を経由しています。この極端な中東依存構造が、海峡封鎖という事態において、先進国の中でも特に脆弱なポジションに日本を置いています。実際、政府は過去最大となる計8,000万バレルの備蓄放出と、燃料油補助金の緊急再開(1Lあたり30.2円の補助)に踏み切りました。
【ガソリン価格を左右する主な要因(2026年4月時点)】
- 暫定税率の廃止
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影響 1月からの定額減税(25.1円/L)
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価格への作用 強烈な値下げ要因
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現在の状況 効果が持続中
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- 地政学リスク(ホルムズ海峡危機)
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影響 海峡封鎖による原油供給不安。世界消費の約20%が遮断リスク
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価格への作用 強烈な値上げ要因
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現在の状況 やや緩和傾向
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- 為替レート(円安)
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影響 輸入物価の上昇
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価格への作用 値上げ要因
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現在の状況 継続中
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- 政府の補助金
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影響 激変緩和措置の緊急再開(30.2円/L補助)
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価格への作用 値下げ要因
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現在の状況 3/19より再開
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【参考】レギュラーガソリン全国平均価格の推移(資源エネルギー庁調べ)
- 2025年1月20日
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全国平均価格 185.1円/L
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主な背景 補助金縮小により上昇。2008年以来の高水準。
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- 2025年11月17日
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全国平均価格 169.8円/L
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主な背景 暫定税率段階廃止スタート
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- 2026年1月19日
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全国平均価格 154.7円/L
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主な背景 暫定税率完全廃止の効果が発現
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- 2026年3月9日
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全国平均価格 161.8円/L
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主な背景 ホルムズ海峡危機の初期段階
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- 2026年3月16日
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全国平均価格 190.8円/L
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主な背景 観測史上最高値。1週間で29円の急騰
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- 2026年3月23日
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全国平均価格 177.7円/L
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主な背景 政府補助金再開(30.2円/L)により下落
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- 2026年4月6日
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全国平均価格 167.4円/L
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主な背景 補助金と外交進展で落ち着き傾向
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- 出典:経済産業省 資源エネルギー庁「石油製品価格調査」
なぜ「税率廃止」だけで安くならないのか?
多くの企業が「税率が廃止されれば140円台で安定する」と予測していましたが、現実はそう甘くありません。ガソリンの値段は、以下の3つの要素の積み上げで決まるからです。
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原油コスト:世界の需要と供給、政治情勢で刻々と変化します。
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税金:今回廃止された暫定税率(25.1円)と本則税率(28.7円)。
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マージン:石油元売りやガソリンスタンドの輸送費・利益。
2026年3月以降、特に「1.原油コスト」が予測不能な動きを見せています。たとえ国内で25円の減税を行っても、国際相場がそれ以上に跳ね上がれば、店頭価格は上昇してしまいます。
ホルムズ海峡危機がもたらした「構造的な供給不安」
今回の原油価格高騰が深刻なのは、一時的な投機による上昇ではなく、物理的な供給制約に基づいている点です。
ホルムズ海峡が封鎖されると、中東湾岸諸国が原油を世界に届ける唯一の手段は陸上パイプラインです。しかし、代替パイプラインをすべてフル稼働させても日量350万〜550万バレル程度しか代替できず、海峡を通過する日量2,000万バレルの足元にも及びません。この物理的なボトルネックにより、IEAの報告では湾岸諸国は日量1,000万バレル以上の原油生産を削減せざるを得ない事態に追い込まれています。
さらに、IEA加盟32カ国が史上最大の計4億バレルの備蓄放出を決定しましたが、事態が半年以上長期化した場合には備蓄枯渇のリスクも指摘されています。ゴールドマン・サックスなどの金融機関は、仮に危機が収束しても原油価格のベースラインが恒久的に底上げされる(80〜85ドル台が定着する)との見通しを示しており、ガソリン価格が以前の水準に完全に戻ることは難しいという見方が主流です。
【参考】過去のオイルショックとの比較
- 1973年 第1次オイルショック
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供給途絶規模(日量) 約450万バレル
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世界供給比 約7%
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月間上昇率 ー
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- 1979年 第2次オイルショック(イラン革命)
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供給途絶規模(日量) 約560万バレル
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世界供給比 約9%
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月間上昇率 ー
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- 1990年 湾岸戦争
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供給途絶規模(日量) 約430万バレル
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世界供給比 約7%
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月間上昇率 46%
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- 2026年 ホルムズ海峡封鎖危機
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供給途絶規模(日量) 約2,000万バレル
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世界供給比 約20%
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月間上昇率 51%
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- ブレント原油の3月月間上昇率は51%で、1990年湾岸戦争時(46%)を上回り史上最大を記録。
企業の車両管理においては、ガソリン価格を「コントロール不可能な外部リスク」として捉え、価格変動に依存しない体制づくりが急務となっています。
変動期に企業が直面する「コスト管理」の難しさ
価格が乱高下する状況下では、従来の「ガソリンカードで給油して後日精算」というフローだけでは、予算管理が破綻する恐れがあります。
予算化の困難
年度初めに立てた燃料予算が、数ヶ月で大幅に乖離するケースが増えています。特に物流や外回り営業を主力とする企業にとって、数円の変動は数百万円単位の利益圧迫に直結します。
たとえば、2026年3月のわずか1週間(3月9日→3月16日)で、レギュラーガソリンは161.8円→190.8円と29円もの急騰を記録しました。仮に月間1万Lを消費する車両を保有する企業であれば、この変動だけで月間約29万円のコスト増となります。
現場の混乱
「安いスタンドを探して回る」ことによる労働時間のロスや、価格改定前の駆け込み給油による在庫切れパニックなど、現場のオペレーション負荷も無視できません。
インフレとスタグフレーションの懸念
影響は企業の燃料費だけにとどまりません。IMF(国際通貨基金)の試算では、原油価格が10%上昇し年内継続した場合、世界のインフレ率は0.4ポイント上昇し、GDPは0.1〜0.2%低下するとされています。今回の50%近い上昇は、単純計算でインフレ率を2%以上押し上げる圧力となり、物流コスト・原材料費の高騰を通じて、燃料以外のあらゆるコスト上昇に波及する可能性があります。
EVはコスト管理の「救いの一手」になるか?
ここまで見てきたように、ガソリン価格は国際情勢・為替・政策の3つが絡み合い、企業がコントロールできる余地はほとんどありません。では、燃料そのものをガソリンから電気に切り替えるEVは、コスト管理の解決策になり得るのでしょうか。
世界:新車の4台に1台がEVの時代に
2025年、世界のEV(BEV+PHEV)販売台数は約2,100万台に達し、前年比で約20%増加しました。新車販売に占めるEVのシェアは約26%、つまり世界では新車の約4台に1台が電動車という水準に到達しています。2024年の約1,780万台から1年でさらに300万台以上増えた計算です。
【2025年 世界のEV販売 地域別サマリー】
- 中国
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2025年販売台数 約1,600万台
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前年比 +17%
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注目ポイント 世界の約62%。国内新車のNEV比率は約48%に。
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- 欧州
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2025年販売台数 約430万台
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前年比 +33%
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注目ポイント 最も高い成長率。独+48%、英+27%。EU排出規制が牽引。
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- 米国
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2025年販売台数 約160万台
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前年比 +1%
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注目ポイント 税額控除廃止(2025年9月末)で急減速。2026年は▲29%予測も。
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- 新興国
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2025年販売台数 急拡大中
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前年比 +48%~+154%
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注目ポイント インド+92%、インドネシア+128%、ベトナム+97%等。
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- 日本
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2025年販売台数 約10.2万台
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前年比 横ばい
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注目ポイント シェア約2.7%。ただし2026年3月は過去最高の4.15%に回復。
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注目すべきは、米国が補助金撤廃で急減速する一方、欧州や新興国は旺盛な成長を見せている点です。EVシフトは一部の先進国だけのトレンドではなく、インド(+92%)やインドネシア(+128%)といった新興市場にも急速に広がっています。2025年時点で、EV販売シェアが10%を超える国は世界で39カ国に達しました(2019年はわずか4カ国)。
日本:「HV先進国」ゆえの構造
日本のEVシェア約2.7%は、世界平均(約26%)の10分の1程度です。しかし、これには日本固有の合理的な背景があります。
日本はHV(ハイブリッド車)が新車販売の約50%を占める「HV先進国」です。燃費性能に優れたHVが豊富に選べる環境に加え、これまでは政府のガソリン補助金が価格を押さえていたこともあり、「わざわざEVに替える必然性が薄い」というのが多くの企業の実感でした。さらに、国産EVの車種が限られていたことや、充電インフラの密度が欧州・中国に比べて低いことも、普及を緩やかにしていた要因です。
2026年以降、日本市場はどうなる?
以下の理由から2026年度以降は変化の兆しが見え始めています。
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ガソリンの「安さ」が崩れた
暫定税率廃止で一時154円台まで下がったものの、ホルムズ危機で190円台に急騰しました。政府補助金による一時的な価格抑制では、構造的な中東依存リスクは解消できません。 -
車種が急速に増えている
2025年後半~2026年にかけて、トヨタ新型bZ4X、ホンダN-ONE e:、日産新型リーフ、スズキeビターラ、ダイハツe-ハイゼットカーゴなど国産EVが続々と投入されています。さらにBYDやヒョンデなど海外勢も参入し、「選べるEVがない」という状況は解消されつつあります。 -
補助金が拡充された
CEV補助金はEVで最大130万円に増額(2026年1月~)。自治体補助と併用すれば、初期費用の壁は大幅に下がります。
2026年3月の国内EVシェアは4.15%と過去最高を更新しました。まだ世界水準には遠いものの、市場の転換は確実に始まっています。
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ガソリン車 vs EV比較
実際にガソリン車とEVを比較すると、コスト・リスクの面でどのような違いがあるのかを本章で具体的に見ていきましょう。
燃料費の「安定性」というメリット
ガソリン価格が世界情勢に即座に反応するのに対し、電気料金は公共料金としての側面があり、価格の変動が比較的緩やかで予測しやすい特徴があります。さらに、深夜電力の活用や自家消費型太陽光パネルとの連携により、エネルギーコストを「自社でコントロール」することが可能になります。
今回のホルムズ海峡危機のように、中東依存度の高いガソリンは地政学リスクの影響を直接的に受けます。一方、国内の電力は再生可能エネルギーや原子力など多様な電源構成で支えられており、特定地域の紛争による急激な価格変動を受けにくい構造です。EVへの転換は、企業のエネルギー調達を「海外依存」から「国内自立」へとシフトさせる戦略的な意味を持っています。
【1万km走行あたりのコスト・リスク比較】
- 走行コスト
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ガソリン車 約10.7万円(※1)
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電気自動車(EV) 約5.0万円(※2)
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- 価格の安定性
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ガソリン車 低い(世界情勢で乱高下)
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電気自動車(EV) 高い(比較的安定)
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- 地政学リスクの影響
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ガソリン車 直接的(中東依存度95%)
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電気自動車(EV) 間接的(国内電源で分散)
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- メンテナンス費
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ガソリン車 オイル交換等で年間数万円
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電気自動車(EV) ほぼ不要
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- 脱炭素貢献
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ガソリン車 排出量が増えやすい
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電気自動車(EV) Scope 1をゼロにできる
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1 燃費15km/L、ガソリン160円/L想定。乱高下により変動あり
2 電費6km/kWh、電力単価30円/kWh想定
EVは「走る蓄電池」としての価値も
ガソリン価格が高騰しても、EVなら「安い時間に充電して高い時間は使わない」というエネルギーマネジメントが可能です。これは単なる車両の置き換えではなく、企業にとっての「エネルギー防衛策」と言えます。
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法人EV導入、実際どうなる?
比較表を見ると「EVの方がコストもリスクも有利」に見えますが、多くの車両管理担当者が気になるのは「実際に導入した企業はどうなったのか?」ではないでしょうか。ここでは、コストシミュレーションと導入事例を通じて、法人EVの実像に迫ります。
50台保有企業の年間燃料費シミュレーション
以下は、社用車50台を保有し、1台あたり年間1万km走行する企業を想定した年間燃料費の比較です。ガソリン車は2026年に実際に起きた乱高下(154円〜190円)を踏まえた2つのシナリオで試算しました。
- 燃料/電力単価
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ガソリン車(安定時) 155円/L
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ガソリン車(高騰時) 190円/L
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EV 30円/kWh
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- 1台あたり年間コスト
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ガソリン車(安定時) 約10.3万円
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ガソリン車(高騰時) 約12.7万円
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EV 約5.0万円
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- 50台合計(年間)
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ガソリン車(安定時) 約517万円
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ガソリン車(高騰時) 約633万円
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EV 約250万円
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- EVとの差額(年間)
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ガソリン車(安定時) +約267万円
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ガソリン車(高騰時) +約383万円
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EV ー(基準)
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- ガソリン車:燃費15km/L想定。EV:電費6km/kWh想定。充電は事業所での基礎充電を前提。
注目すべきは、ガソリン価格が「安定している時」でも、EVとの年間コスト差は約267万円に達する点です。さらに、2026年3月のような高騰局面では差額は約383万円に拡大します。ガソリン価格がいつ急騰するか予測できない以上、EVの「予測可能なコスト構造」は予算管理の観点からも大きなメリットです。
導入事例:株式会社アクティオさま
段階的EVシフトのステップ
全車両を一度にEVに切り替える必要はありません。多くの企業が採用しているのは、以下のような段階的なアプローチです。
ステップ1:固定ルート車両から
毎日決まったルートを走る配送車や巡回車は、必要な航続距離が明確で、事業所に戻って充電するサイクルが確立しやすいため、EVへの置き換えに最も適しています。
ステップ2:営業車へ拡大
1日の走行距離が200km以内の都市部営業車は、現在のEVの航続距離で十分にカバー可能です。外出先での経路充電網も急速に整備が進んでいます。
ステップ3:テレマティクスで全体最適化
NCSドライブドクター等のテレマティクスで全車両の走行データを可視化し、EV化の優先順位をデータに基づいて判断。余剰車両の削減やルートの最適化と組み合わせることで、車両コスト全体を圧縮します。
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まとめ
2026年、ガソリン価格の乱高下は「暫定税率廃止」という好材料を打ち消すほどの影響を及ぼしています。ホルムズ海峡危機によって観測史上最高値の190.8円/Lを記録し、政府が緊急の補助金再開に追い込まれたことは、エネルギーの海外依存リスクを改めて浮き彫りにしました。
地政学リスクや為替の動向を完全に予測することは不可能です。だからこそ、企業に求められるのは「値段の上下に一喜一憂しない仕組み」を作ることです。「一時的に我慢すれば元に戻る」のではなく、エネルギーコストの高止まりを前提とした経営計画でリスクを回避していきましょう。