2025.1.20
EVの車両管理を解説! 手間をなくす方法も紹介
カテゴリー:コラム
テーマ:EV/環境・脱炭素/コスト最適化
法人の車両管理はどのようにすれば効率的に行えるのか、そしてどんな役職やシステムが必要なのかと疑問に思われる方も多いでしょう。本記事では、「車両管理担当者」と「安全運転管理者」の違いや車両管理業務にフォーカスして、効率化に寄与するメンテナンスリースや車両管理システムの導入について詳しく解説します。
さらに、EV(電気自動車)の導入がもたらす環境貢献やコスト削減、非常用電源としての利点についても考察し、持続可能な企業運営の方法を探ります。
「そもそもEVって何?」という方はこちらの記事から読んでいただくのをオススメします。
EV(電気自動車)とは?特徴や種類についてゼロから解説!
1. 車両管理担当者と安全運転管理者の違い

法人の車両管理には「車両管理担当者」と「安全運転管理者」2種類の役職があり、それぞれ役割が異なります。
車両管理担当者は、主に法人車両の運用や管理を担当する役職です。担当者は具体的な資格は不要で、法律上の選任義務もありません。主な業務は車両の効率的な利用や、法令遵守、安全運転の促進、コスト削減、事故防止、社員による私的利用防止などです。
一方、安全運転管理者は、自家用自動車を一定台数以上保有する事業所において、法令に基づいて設置が義務付けられており、安全運転の確保に特化した責任を持ちます。この役職は、安全な車両運行のための業務を実施するという点で、別の専門的な責任を有します。

本記事では車両管理担当者の業務についてまとめています。
安全運転管理者の役割や業務については別の記事で解説していきます。
2. 車両管理で必要な業務

車両管理は法人において、社員が安全かつ効率的に車両を使用するために欠かせない業務です。この章では、車両管理をする上で必要な業務について詳しく解説します。
車両台帳や利用規定の管理
社用車を効率的かつ合法的に使用するためには、車両台帳や利用規定の管理が欠かせません。車両台帳には、車両情報や保険加入状況、車検タイミング、運転者情報などを詳細に記録します。これにより、法的手続きや税金処理を円滑に行うことが可能です。
また、社用車の適正利用を確保するために、企業内での利用規定を策定し、遵守を促すことも重要です。運転日報の作成により、車両の利用状況を把握することで、問題への迅速な対応が可能になります。
車両の稼働状況の把握
車両の稼働状況の把握は、車両管理担当者が担う重要業務のひとつです。日々、各車両の運行を詳細に管理し、「どの時間帯にどの車両を誰が何の用途で使用しているか」を把握することで、車両のダブルブッキングを防ぎます。
車両の使用については通常、車両管理担当者が許可するため、貸出し前には申請書の提出ルールを徹底しましょう。この際、利用時間、利用目的、おおよその走行距離を確認することで、不正利用を防げます。
車両のメンテナンス、燃料状況を把握
燃料状況を定期的に把握し、燃料切れが起こらないように管理することは、安全な運行を確保するために必要な業務です。また、日常点検は車両管理担当者の役割であり、エンジンルームやタイヤ、運転席などのチェックを行うことで、車両における不具合の早期発見につながるでしょう。
これらの点検は、交通事故を未然に防ぐために大切な業務です。
国土交通省が提供するチェックリストを活用することで、適切で網羅的な点検が実施できるでしょう。日々の管理が事故防止に直結します。
国土交通省|日常点検項目チェックシート

コスト把握、削減の取り組み
車両管理担当者は、社用車の給電/給油状況、走行ルート、走行距離、駐車場利用料などを詳細に管理します。これにより、不正利用を防ぎ、余計なコストの発生を抑えられます。
また、運転日誌の提出を徹底することで、コスト削減に加え、安全運転の推進にもつながるでしょう。特に、車両の燃料費や毎年の税金支払いも重要なコストです。
燃料費削減や税制優遇措置を利用したEVへの切り替えを検討することで、更なるコスト削減につながるでしょう。さまざまな対策を通じて、企業の経費管理と効率的な運用が実現します。
EVの税金について、詳しくはこちら
EVにかかる税金と税制優遇制度は? ガソリン車とも比較
3. EV特有の管理業務

EVは、従来の車両とは異なり充電に関する管理業務が必要になります。ここでは充電にかかるコスト管理と充電設備のメンテナンスについて解説します。
充電タイミングの把握・管理
EVはガソリン車と比べて充電に時間がかかるため、効果的な運用には、充電タイミングの管理が不可欠です。使用前には必ずバッテリー残量を確認し、計画的な充電を心がけましょう。
特にオフィスの電力契約を利用した基礎充電では、電力使用のピーク時間を避けて充電することで、基本料金の増加を予防できます。効率的な充電計画の立案は、EV運行をスムーズにし、コスト管理にも大きく貢献できるでしょう。
EVの充電について、詳しくはこちら
・これを読めばわかる! EV(電気自動車)の充電のあれこれ
・EV(電気自動車)の充電時間はどれくらい? 効率的な充電のコツも紹介
・EV(電気自動車)の充電料金は? ガソリン車と比較して解説
充電設備のメンテナンス
EVの充電設備を長期間にわたり効果的に使用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。具体的には、半年ごとの点検が推奨されます。
メンテナンスでは、設備の正常な動作確認や清掃が主な作業となりますが、充電器の種類によって細かな手順や点検項目には違いがあります。例えば、接続部の緩みやケーブルの損傷をチェックすること、そして整備記録を残すことで、突然の故障を未然に防ぎ、充電効率を維持することが可能です。
4. 車両管理における手間

車両管理にかかる手間が課題となっています。ここでは車両管理において手間のかかる業務とEVの管理における課題を紹介します。
日報の作成、管理
車両を使用する際の運転日報の作成と管理は、企業にとって大きな手間となります。特に手書きやExcelでの記録は、時間と労力を要し、多忙な業務の合間をぬって作業せざるを得ないため、大きな負担です。また、データ入力の重複やミスが生じやすく、結果としてデータの不確実性や管理の効率性が低下する課題もあります。
最近では、これらの問題を解決するために日報作成の自動化を進める企業が増えています。自動化により、管理の効率化と運転者の負担を軽減することが可能です。
電力使用量のピーク調整
企業がEV車両を運用する際、電力使用量のピーク調整に対する負担も考えられます。特に、EVのバッテリー残量と施設全体の電力使用量を同時に把握し、効率的に管理することが求められます。
これは、EV車両の充電タイミングを調整して電力需要が高まる時間帯に契約電力を超えないように工夫する必要があるためです。この負担を軽減するため、一部の企業ではエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用し、電力使用の最適化を試みています。EMSを導入することで、自動で効率的な充電タイミングを設定し、電力コストを抑えることが可能になります。
5. 車両管理を効率よく行う方法

車両管理における効率化は、多くの企業にとって重要な課題です。特に、業務用車両の増加とともに運用コストの増加が避けられないため、効果的な管理手法が求められています。最新のテクノロジーやシステムを活用することで、時間とコストを削減し、業務全体の最適化を図ることが可能です。
オートリースや車両管理システムの導入
車両の維持管理にかかる業務を外部に委託できるオートリースの導入は、企業にとって車両管理の効率化を実現する有力な手段です。オートリースを利用することで、資産としての自動車の管理が簡素化され、資金繰りも柔軟になります。またメンテナンスリースでは、車両の整備や維持管理をアウトソーシングでき、特に整備や定期点検といった負担を大幅に軽減します。
これに、自動で運行データや車両状況を収集・管理するテレマティクスや車両管理システムを組み合わせれば、運用効率をさらに高め、企業の業務負担を大幅に減らせるでしょう。
NCSでもオートリースやテレマティクスサービスを提供しています。
・NCS オートリース
・テレマティクスサービス
エネルギーマネジメントシステムの導入
エネルギーマネジメント機能を備えたEV充電器の設置は、企業のエネルギー管理とEV普及の両立を図る重要な手段です。通常のEV充電は、契約電力の増加や電気料金の上昇を招く恐れがありますが、この機能を活用することで解決できます。
充電器は、エネルギーマネジメント機能により電力需要が少ない時間帯を自動選択で充電し、デマンドの増加を抑制します。さらに、必要に応じてEVから蓄えた電力を放電することで、ピーク時の電力消費も低減できます。加えて、契約電力の範囲内で自動制御したり、電気料金の安い時間帯に充電をシフトしたりすることにより、管理者の手間をかけずにコスト削減が実現できるでしょう。
EVのエネルギーマネジメントについて、詳しくはこちら
【徹底解説】EV導入に欠かせないエネルギーマネジメントとは
6. 社用車をEVにするメリット

社用車としてEVを導入することには、さまざまな利点があります。ここでは、環境への貢献やコスト削減、非常時の活用など、EVを導入するメリットをご紹介します。
環境貢献と企業イメージ向上
EVは、CO2や有害物質を排出せずに走行するため、地球温暖化防止や大気汚染の削減に貢献します。これにより、企業はCSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを強化できます。結果として、環境意識の高い企業としてイメージ向上が期待できるでしょう。
温室効果ガスの削減が求められる今日、EVの導入は環境への配慮を示す絶好の機会であり、顧客や投資家からの信頼を深める効果があります。これは、日本が掲げる「温室効果ガスゼロ」の目標とも一致し、企業価値の向上にもつながります。
コストを削減できる
EVの走行コストはガソリン車と比較して低く、燃料費を大幅に削減できるのが魅力です。多くの場合、EVはガソリン車の約1/3の燃料費での走行が可能と言われています。
もし、自社で充電設備を整え、安価な深夜電力を利用できれば、さらなるコスト削減が実現します。さらに、EVはエンジン車に比べて構造がシンプルで、交換を必要とする部品が少ないため、メンテナンス費用も抑えられるでしょう。このほか、振動や高温による部品の劣化が少ないため、車両維持費の削減にもつながります。
国や自治体からの補助金を活用すれば、購入時の初期費用も抑えることが可能です。加えて、EV運用の長期的なランニングコストを抑制するには、エネルギーマネジメントシステムの導入も効果的でしょう。
非常用電源として活用できる
EVは、災害時に非常用電源として役立つ可能性を秘めています。EVのバッテリーを使用すれば、外部給電器を介してAC100Vで1500W以下の電化製品を動かすことが可能です。さらに、一部の車種ではオプションでコンセントが装備されていることもあります。
EVの最大のメリットは、その機動力です。災害時に必要な場所へ移動して電力を供給できるため、柔軟な支援が可能になります。また、EVは騒音も排気ガスも発生しないため、避難所内での使用に適しており、地域支援や社会貢献にも貢献することでしょう。
EVの非常時活用について、詳しくはこちら
災害に強いEV活用でBCP対策強化&地域貢献を実現
7. まとめ
法人における車両管理は「車両管理担当者」と「安全運転管理者」が担う重要な業務であり、それぞれの役割を理解することが鍵となります。効率的な管理には、メンテナンスリースや車両管理システムの活用が効果的です。
また、EVの導入は、環境貢献やコスト削減、非常用電源としての役割を通じて、企業のイメージを向上させるとともに持続可能な経営を実現する一助となるでしょう。これらの取り組みを通じて、安全で効率的な運行を支える方法をしっかりと検討することが求められます。
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