- 課題/背景
-
-
社用車で事故が発生した際、事故報告書は提出されていたものの、事故状況を客観的に確認する手段がなく、原因分析や具体的な再発防止策の検討が難しい状況だった
-
全国約100カ所の営業所で約600台の社用車を運用しており、事故やヒヤリハットが発生しても現地確認は難しかった
-
- 選定理由
-
-
展示会などで複数の製品を比較する中で通信型ドライブレコーダーOffseg(オフセグ)を認知。SDカード管理が不要で、事故時の映像記録の取りこぼしを低減できる点を評価した
-
多様な車種が混在する環境でも導入しやすく、デンソーグループ製品としての信頼性や、日本カーソリューションズ(NCS)のサポート体制も決め手となった
-
- 導入の効果
-
-
映像を活用した事故分析が可能になり、安全運転指導を具体化。実際の映像を使った安全運転講習により、ドライバーの安全運転に対する意識向上につながった
-
ヒヤリハットも含めた映像分析により事故傾向を把握できるようになり、事故後対応だけでなく予防型の安全運転管理へと取り組みを進めることができた
-
1946年創業のタニコー株式会社は、ステンレス加工技術を強みに、業務用厨房機器の設計・製造・販売・施工までをワンストップで手がける日本有数の総合メーカーです。飲食店やホテル、病院、学校給食センターなど幅広い顧客に製品とサービスを提供しており、業界内でも高いシェアと信頼を築いてきました。近年では、トッププレートのどこでも自由に調理ができる『Free Zone IH®』や、長年の課題だった揚げ時間の短縮を実現し、従来の揚げ時間を最大1/3にする『オンデマンドフライヤー』など、顧客ニーズを起点とした製品開発にも積極的に取り組んでいます。
同社では、営業担当者やサービスエンジニアが日々お客さま先を訪問し、提案や修理対応などのサービスを提供しています。こうした業務において社用車は欠かせない存在ですが、従来は事故やヒヤリハットが発生した際、ドライバー本人の報告に頼らざるを得ず、状況の正確な把握や具体的な安全指導が難しいという課題がありました。
そこで同社が導入したのが、デンソーテンの通信型ドライブレコーダーサービス『Offseg(オフセグ)』です。映像データによって事故やヒヤリハットの状況を客観的に確認できるようになったことで、事後対応の迅速化だけでなく、事故を未然に防ぐための安全運転マネジメントへと取り組みを進めています。本記事では、Offseg(オフセグ)導入の背景や選定理由、そして導入後に見えてきた具体的な効果について、管理本部 総務部の山村さん、田幡さん、阿部さんにお話を伺いました。
課題/背景
事故原因を客観的に把握できない──報告ベースの安全管理に限界
当社では、営業担当者やサービスエンジニアがお客さま先へ訪問し、厨房機器の提案や修理対応などのサービスを提供しています。こうした業務を支える社用車は欠かせない存在であり、全国の営業所で日常的に運用しています。
一方で、車両運用における安全管理は長年の課題でもありました。社用車で事故が発生した場合には、当事者が事故報告書を提出するルールになっていますが、その書面だけでは実際に何が起きたのかを客観的に確認することができませんでした。
例えば飛び石事故のようなケースでは、一見避けようがないように思えますが、実際には車間距離を十分に取っていれば防げる場合もあります。もちろん、報告内容そのものを疑っているわけではありませんが、従来の仕組みではその判断を客観的に行うことができませんでした。そのため、事故の背景や原因を十分に把握できず、「気を付けてください」といった抽象的な注意喚起にとどまってしまう場面も多かったと思います。
加えて、当社は全国100カ所の営業所に約600台の社用車を保有しており、事故が発生するたびに現地へ赴いて状況を確認することも現実的ではありません。安全運転管理の重要性は理解しながらも、事故が起きた背景や原因を深掘りすることが難しく、結果として再発防止策を具体的に検討するところまで踏み込めないことにもどかしさを感じていました。
事故後の対応や事故を防ぐための取り組みは、企業としてのリスク対策という意味だけでなく、社員一人ひとりの今後の人生にも関わることだと考えています。そのため、安全運転の取り組みは会社として優先度の高い課題として向き合っていく必要がありました。
選定理由
安定した映像記録と信頼できるパートナーのもと、運用テストを経て導入を決定
通信型ドライブレコーダーの導入を検討するにあたり、まずは情報収集から始めました。関連する展示会などにも足を運び、複数のサービスや機器を比較しながら検討を進めていく中で出会ったのがOffseg(オフセグ)でした。
選定にあたって特に重視したのは、「安定して映像を記録できる仕組み」であることです。ドライブレコーダーの中には、端末にSDカードを挿入する方式のものもありますが、その場合どうしてもカードの抜けや接触不良、破損といったトラブルが起こり得ます。そうなってしまえば、いざというときに映像を振り返ることができません。事故の状況を客観的に確認するという本来の目的を考えると、この点はなんとしても解消しておきたい課題でした。
その点、Offseg(オフセグ)は車載器に内蔵されたストレージに映像が保存される仕組みになっており、SDカードの抜き差しによるトラブルの心配がありません。安定して記録が残るという点は、安全運転管理の仕組みを整えるうえで大きな安心材料になりました。
また、当社では営業活動やサービス対応のために、さまざまな車種の社用車を運用しています。一般的な営業車として多く使われるライトバンが中心で、次いで軽バン、営業所によってはトラックを保有しているケースもあります。こうした環境の中で、車種を問わず安定して導入できることも重要な検討ポイントでした。その意味でも、自動車業界で幅広い実績を持つデンソーグループの製品であることは、信頼性の面で安心感がありました。
導入を検討するにあたっては実際の運用を想定したトライアルも実施しました。千葉県エリアの営業所で約2カ月間試験導入を行い、イベント録画の精度や管理画面の操作性などを確認しました。その結果、運用面で大きな問題はなく、事故やヒヤリハットの状況を客観的に把握できる仕組みとして十分活用できると判断しました。
こうした検証を経て最終的な決め手となったのは、サポート体制でした。導入にあたっては、日本カーソリューションズ(NCS)の担当者の方が当社の運用状況や課題を丁寧にヒアリングしながら伴走してくださり、単なる機器の提案にとどまらず、安全運転の取り組みにどのように活用していくかという視点まで含めて具体的なアドバイスをいただくことができました。
通信型ドライブレコーダーは導入して終わりではなく、その後の運用や安全教育の取り組みにつなげていくことが重要です。そうした意味でも、機器そのものの性能だけでなく、導入後も寄り添いながらサポートしていただける体制があることは大きな安心材料でした。
導入の効果
映像データの活用で事故対応を高度化。予防型の安全運転マネジメントへ
通信型ドライブレコーダーを導入したことで、車両管理の運用体制も大きく変わりました。現在は、各車両で記録された映像を本社の総務部で一元管理しており、危険挙動などのイベントが発生した場合には内容を確認し、必要に応じてドライバー本人や上長へ共有する仕組みを整えています。特に重要度の高い映像は保存して後から振り返ることができるため、事故対応や安全指導に活用しやすくなりました。
その結果、事故やトラブルが発生した際にも、ドライバーの報告だけに頼るのではなく、映像をもとに客観的に確認できるようになりました。これにより、事故の原因や背景をより正確に把握できるようになり、対応の公平性や透明性も高まったと感じています。
実際に、脇道から飛び出してきた車に驚いた自転車の高齢者が車道側に倒れるという、非常に危険な場面がありました。当社の社用車は間一髪で停止することができ、大きな事故には至りませんでしたが、その映像を後から確認できたことで、状況を正確に把握することができました。ドライバーに対しても「よく止まれましたね」と声をかけることができ、危険な場面を共有しながら安全運転への意識を高める機会にもなりました。
また、日本カーソリューションズ(NCS)からの提案をきっかけに、安全運転講習も実施しています。Offseg(オフセグ)に記録された映像には、事故やヒヤリハットが発生した時間帯や道路状況などが高い精度で残るため、その中から講習に活用できる映像を選び、オリジナルの教材を作成しました。実際の運転場面を振り返りながら具体的に指導を行うことができるため、状況をより実感をもって理解してもらえるようになりました。重大な事故を起こしたドライバーに対しては、一定期間の運転停止措置を取ったうえで本講習を受けてもらい、その内容を確認したうえで運転を再開する仕組みも整えています。
こうした取り組みによって、ドライバー自身も運転状況を客観的に捉えられるようになりました。実際に事故を経験した社員の事故報告書の内容にも変化が見られるようになり、以前は「気をつけます」といった抽象的な記述にとどまっていたものが、「夜間の眠くなりやすい時間帯の運転には特に注意する」といった具体的な振り返りが書かれるようになっています。映像を通じて事実を客観的に認識できるようになったことが、安全意識の向上につながっていると感じています。
さらに今後は、事故が発生してから対応するだけでなく、危険挙動のデータやイベント映像をもとに、事故の兆候が見られるドライバーや営業所に対して事前に講習を行うことも検討しています。こうした取り組みによって、事故後の対応だけでなく、事故を未然に防ぐための「攻めの安全運転」にも力を入れていきたいと考えています。
今後の展望
3年で社内の安全運転文化を醸成。社員を守るために重大事故ゼロを目指す
600台のうちOffseg(オフセグ)が入っているのは現在423台(2026年2月取材時点)。順次取り付けを進めており、2年後には全車両への導入を完了させる計画です。さらに、今回の取り組みを一過性の施策として終わらせるのではなく、3年程度の期間をかけて会社全体に安全運転の意識を根付かせていく方針です。もちろん、これまでも「事故を減らそう」という目標は掲げていましたが、Offseg(オフセグ)の導入によって、事故削減に向けた取り組みをより具体的に検討できるようになりました。例えば、事故件数の数値目標を達成するためにどのような研修を実施すべきかといった内容まで踏み込んで議論できるようになった点は、大きな変化だと感じています。
実際に映像データを分析してみると、事故やヒヤリハットの多くが前方不注意や車間距離の不足に起因していることが見えてきました。こうした傾向を踏まえ、重点的に改善すべきポイントを明確にしながら、個別指導と全体指導を組み合わせて安全運転の意識づけを進めていく考えです。段階的に事故件数を減らし、最終的には重大事故ゼロの実現を目指しています。
また、Offseg(オフセグ)の導入によって、安全運転の取り組みを組織として継続的に運用していく体制も整いつつあります。現在はアシスタントスタッフが管理画面でイベント情報を確認し、各営業所やドライバーへフィードバックを行う運用を行っていますが、「専門知識がなくても扱いやすい」という声も多く聞かれます。こうした仕組みが整ったことで、安全管理の取り組みを特定の担当者に依存するのではなく、組織として継続的に運用できる体制が築かれてきていると感じています。
交通事故に対する社会の目がますます厳しくなる中で、安全運転への取り組みを強化していくことは企業としての重要な責任だと考えています。当社では「企業の活力の源泉は社員にある」という考え方を大切にしており、安全対策は社員を守るための取り組みでもあります。
現在は社用車の入れ替えに合わせてOffsegを順次導入しており、すでに半数以上の車両に搭載されています。導入当初はドライブレコーダーの設置に抵抗を感じる社員もいるのではないかという懸念もありましたが、会社として「社員の安全を守るための取り組み」であることを丁寧に伝えながら進めてきました。今後もOffseg(オフセグ)の活用を通じて、社員が安心して業務に取り組める環境づくりを進めていきたいと考えています。
今後は、まだ十分に活用できていない機能の活用も検討していきたいと考えています。例えばeラーニング機能の活用や、アルコールチェックサービスとの連携など、さらなる安全管理の高度化にも取り組んでいく予定です。また、安全運転講習会のような取り組みも含め、日本カーソリューションズ(NCS)が持つノウハウを生かした提案を引き続きいただきながら、より良い安全運転体制を共に築いていきたいと考えています。