- 課題/背景
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グループ入りした株式会社大正舎(以下、大正舎)が、アルコールチェック義務化の対象になっていることを確認。アルコールチェックへの対応が急務であった
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紙ベースでの記録・保管による負担が大きいという課題が明らかになり、電子データによる一元管理が不可欠だった
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- 選定理由
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日本カーソリューションズ株式会社(以下、NCS)との長年の信頼関係の構築や、車両の一元管理が可能である点を評価
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アルコールチェックと始業前点検をセットで習慣化し、現場への負担を最小限に抑えながら安全意識を高められる手軽さを重視
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- 導入の効果
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3ヶ月間の無料テスト期間を活用して、「ルーティン化」を実現。当たり前に運用される体制が構築された
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安全運転への意識が高まったことで、車両を大切に扱う文化も育まれている
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2022年の道路交通法改正により、乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している、またはその他の自家用自動車を5台以上使用する企業は、運転前後のアルコールチェックを実施し、その記録を保存することが義務づけられています。しかし、限られた人員や時間のなかで「どのような運用体制を構築するか」「現場の負担を抑えながらどのように運用していくか」といった課題を抱える事業者も少なくありません。
1970年の創業以来、長きにわたって地域の皆さまと共に歩んできた株式会社ベスト・ケアーは、東京都板橋区・練馬区・中央区・埼玉県川口市など首都圏を中心に、地域密着型の介護サービスを展開しています。2009年には新潟県を拠点とするNSGグループに仲間入りを果たし、現在10拠点・約300名の従業員を擁し、「東京都働き方改革宣言企業」として、ICTの活用や多様な働き方を推進し、誰もが働きやすい職場環境の整備にも力を注いできました。
同社が、全社的に安全管理を徹底し、アルコールチェック義務化に対応するために導入したのが「NCSドライブドクター運行支援アプリ」。本記事では、代表取締役・坂本和徳氏に、その導入背景、運用体制、得られた成果について伺いました。

課題/背景
業務拡大に伴い、アルコールチェック義務化への対応が必要に。ICT活用により、現場への負担を最小限に抑えたい
当社では現在、35台の社用車を保有しており、その多くはデイサービスのご利用者様の送迎や福祉用具の営業活動・配達に活用するなど、業務上不可欠なインフラとなっています。そのため、アルコールチェック義務化への対応は、当社にとって非常に重要なテーマでした。2024年に事業を一体化した大正舎と打ち合わせを進めるなかで、同社は車両の保有台数が多く、乗務前後のアルコールチェック義務化の対象となっていることが確認できました。さらに、大正舎は紙ベースで記録や管理を行っており、記入や保管の負担が大きいという課題も明らかになり、車両管理のあり方を全社的に見直す必要性を強く感じました。
一方で、他の拠点については、車両の保有台数が4台程度の事業所がほとんどで、アルコールチェックの義務化対象外の範囲にとどまっていたのが実態です。しかしながら、送迎業務というのは単に人を運ぶ業務ではなく、高齢者の方の命をお預かりする責任の重い仕事。拠点によって管理の水準に差があってはいけません。全社一体で安全運転への意識を高めるとともに、運用の体勢を整えるべきだと判断しました。
安全運転への意識を高めるには、始業前点検も重要なポイントです。私自身、自動車業界で働いていたこともあり、車両の安全管理の重要性を実感してきました。こうした一連の取り組みを単なる「法令対応」で終わらせるのではなく、車両管理を一元化する体制を構築することで、全社員の安全運転への意識を高めるという方針を掲げました。
ただ、コンプライアンス遵守を確実にすることが、従業員の負担になってはいけません。ICTを活用することで、現場への負担を最小限に抑えたいという思いが、「NCSドライブドクター運行支援アプリ」導入を検討する大きなきっかけになりました。
選定理由
車両の一元管理と、習慣化を後押しする手軽さを評価し、NCSドライブドクター運行支援アプリの導入を決断

「ドライブドクター運行支援アプリ」の導入を決めた理由はいくつかあります。もともと当社を含めNSGグループとしてNCSと長年にわたる取引の実績がありました。営業担当が交代しても一貫したサポートを受けられる点は、経営の立場からも大きな安心材料です。実際、保有車両のリース期間が終了するタイミングを、1年先、2年先まで早期に共有いただけることで、更新計画を立てたり、経営判断を行ったりする上で非常に有用だと感じていました。
サービスの導入を検討する際には、他社サービスについても一通り情報収集を行いました。ただ、NCSのサービスであれば、既存の車両管理(オートリース)と一元化できるメリットが大きいと判断しましたし、今後の運用においても継続的にトータルサポートを受けられる点は大きな強みだと感じました。
「ドライブドクター運行支援アプリ」については、現場の負担を極力抑えられる点を特に評価しました。送迎の出発前は非常に慌ただしく、アルコールチェックや始業前点検に十分な時間を確保するのが難しい現実があります。このアプリであれば、記録が1~2分程度で簡単に完了し、操作性もシンプルで直感的です。これなら日常業務に無理なく組み込むことができると判断しました。
また、導入前に3ヶ月間の無料テスト期間を設けてもらえたことも非常に大きかったです。まず専用のスマホを全車両に配備し、運行支援アプリをインストールして、実際に業務のなかで試しました。テスト期間で重視したのは、運用上の問題点を洗い出すこと。たとえば、管理者が休みで不在の場合は誰が承認を行うのかという課題には、シフト内で当日リーダーを設定する体制を整えるなど、実務上で起こり得る問題を想定して取り組みました。
テスト期間中の進捗は週1回の幹部ミーティングで確認し、どの拠点が運用できていないのか、何がボトルネックになっているのかを細かくチェックしました。そのうえで、NCSの営業担当とも相談しながらルールを整備し、現場の理解と習慣化を進めていきました。こうした取り組みを3ヶ月間徹底して行ったことで、全社で活用できる運用基盤を着実に築くことができたと感じています。
導入の効果
アルコールチェックと始業前点検が毎日のルーティンに。安全運転に対する意識のレベルを一段引き上げる
「NCSドライブドクター運行支援アプリ」の運用は、始業前と終業後にアルコールチェックを実施し、加えて始業前点検も行い、その結果を管理者もしくは当日リーダーが確認する運用にしています。
導入後に感じたのは、こうした仕組みを毎日くり返すことで、習慣として定着するということです。私はよく、朝起きたら顔を洗うのと同じ感覚でやってほしいと伝えていますが、今ではルーティンとして当たり前に行われるようになり、業務の中に自然に組み込むことができるようになるまで習慣化できたと感じています。
記録管理も大きく変わりました。従来は紙に手書きした記録を保管し、確認や集計に多くの手間がかかっていましたが、アプリの導入で一括管理が可能になり、管理側の負担は大幅に軽減されました。運用の効率化によって、本来の業務に時間を割けるようになったのは大きなメリットです。
また、安全運転に対する意識も明らかに変わったと感じています。特にお酒が好きな社員の中には、翌朝の検知結果を気にして無理な飲み方を控えるようになったという声もあります。毎日アルコールチェックを行うことで、自分自身の運転に対する責任感が高まり、会社全体の意識のレベルを一段引き上げる効果があったと実感しています。
さらに、こうした始業前点検を通じて、車を大切にする気持ちが芽生える効果もあると感じています。「運転」とは直接関係がなくても、「今日は車が少し汚れているな」「帰ったら洗車をしようかな」といった気づきが自然と出てくるようになりました。ご利用者様をお迎えに行く際に、やはりきれいな車で伺う方が気持ちが良いですし、そうした意識が積み重なることで、車を大切に扱う文化も育つと考えています。決して点検だけを目的にするのではなく、日頃から車に目を向ける習慣を根付かせることが大事だと思っています。
今後の展望
ICTの活用とペーパーレス化で、安全運転を企業文化に

アルコールチェックや始業前点検は、コンプライアンス遵守の観点からも今後ますます必要不可欠になってくると感じています。今回「ドライブドクター運行支援アプリ」を導入して、業務の効率化や意識の定着に一定の成果を感じていますので、NSGグループの法人や、まだ導入していない取引先などにも、実際の導入事例やメリットを共有できればと考えています。
今回の取り組みは、単にアプリを導入したというだけではなく、業務全体をペーパーレス化し、ICT化を推進する一つの成果となりました。今は多くの業態でICT化が進んでいますし、紙で運用している業務をできるだけ減らしていくことが求められています。そういった意味でも、車を日常的に使用する業務を行っている企業にとっては、こういったアプリが今後必要になっていくのではないかと思います。
日々車両を使用する会社にはさまざまな業態があると思いますが、車は安全に関わる部分なので、少しでもこういったアプリを使うことで安全運転の意識が高まるのであれば、それだけでも導入する意義は十分にあると感じています。
送迎ルートの自動設定機能など、さらに便利になる仕組みが同じアプリの中に備わっていくと現場の負担も減らせると思いますので、今後のバージョンアップの際はぜひ検討いただきたいと思っています。