2024.6.12

EV(電気自動車)のメリット・デメリットを解説! デメリットの解消法も

カテゴリー:コラム
テーマ:EV/環境・脱炭素/コスト最適化

EVは、環境にやさしく経済的なクルマとして注目されていますが、その特性上、メリットとデメリットがあります。

メリットはガソリン車に比べてランニングコストが低く、また災害時の非常用電源などでも活用できます。一方で、車両価格の高さや充電時間が長いなどデメリットもあるため、用途や目的に合ったEVを選ぶことでデメリットを解消していく必要があります。

今回はそんなEVのメリット・デメリットを多角的に解説していきます。

EVについて詳しく知りたい! という方はこちらの記事から読んでみてください。
EV(電気自動車)とは?特徴や種類についてゼロから解説!

1. EVとは?他のクルマとの違い

EVは、バッテリーに蓄えた電気エネルギーを使ってモーターを駆動し、走行する自動車です。従来のガソリンのクルマと違い、EVにはエンジンがなく、走行時にCO2を排出しないため環境にやさしいクルマとして注目されています。

EVの充電は、公共の充電スタンドや一般的なコンセントから行います。ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車との大きな違いは、電気のみを動力源としている点です。ガソリンエンジンを持たず、モーターのみで走行する点が、他と大きく違う特徴といえるでしょう。

2. EVに注目が集まる背景

近年、地球温暖化対策として走行時にCO2を排出しないEVの普及が注目されています。

日本では、2020年末に経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を打ち出しました。この戦略では、2035年までに乗用車新車販売の100%を電動車にするため、EVのインフラ拡大・導入支援や買い替え促進措置が進められています。

※参照:経済産業省「自動車・蓄電池産業」

●企業の社用車としてもEV導入が増えている

企業においても、社用車をEVに切り替える動きが活発化しています。

金融庁は、東京証券取引所プライム上場企業に対し、温室効果ガス排出量の開示を義務付けました。自社だけでなく、取引先を含む排出量について、国際基準に沿った開示が求められています。

企業としてのCO2排出量削減に向けた取り組みが急務となった中、EVは走行時にCO2を排出しないため、社用車のEV化は脱炭素化に直結する効果的な施策として注目されています。

※参照:地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)

3. EVのメリット

EVは、環境への優しさはもちろん、ランニングコストや災害対策など、EVならではのメリットが数多くあります。ここでは、EVの主なメリットについて詳しく解説します。

●環境への負荷が少ない

EVは走行時にCO2や排気ガスを排出しないため、環境負荷が少ない乗り物といえます。ガソリン車の排気ガスには、CO2のほか、光化学スモッグの原因となる炭化水素や窒素酸化物なども含まれています。EVの普及は、こうした環境問題の改善に大きく貢献するでしょう。

●エネルギー効率が良い

ガソリン車に比べ、EVはエネルギー効率が良いのもメリットです。ガソリン車が燃料の約2割しかエネルギーに変換できないのに対し、EVは9割程度を効率的に動力に変えられます。

また、電気料金はガソリン代と比べて安いため、ランニングコストを大幅に抑えられるでしょう。

※参照:北海道EV・PHV普及促進検討研究会「EV・PHVはすごい」

●災害時の非常電源としても活用できる

EVは大容量のバッテリーを搭載する「走る蓄電池」ともいわれます。例えば日産リーフのバッテリーは、一般家庭の約4日分の電力量※1を蓄えられるからです。

また、蓄えた電力を災害時などの非常用電源として活用できます。停電時も、コンセントを通じて家電製品に給電できるため、ライフラインとしても注目されています。

なお、一般社団法人日本自動車工業会では、各社の給電車紹介情報※2をまとめています。

※1参照:日産自動車株式会社「リーフ[LEAF]蓄電池利用」
※2出典:一般社団法人日本自動車工業会「各社の給電車紹介情報」

●安全性が高い

EVに搭載されるリチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度が高い反面、発火や爆発のリスクも懸念されます。しかし、各部に難燃性素材を用いたり、センサーで異常を検知したりするなど、さまざまな安全対策が施されてきました。

国連の安全基準をクリアすることが求められるほか、バッテリーのカバーにあたるセルやモジュールごとに保護機能を備えるなど、万全の態勢で安全性を担保しています。

●パワフルな走行を実現

EVは、発進時からモーターの最大トルクを発揮できるため、アクセルを踏んだ瞬間から力強く加速できます。ガソリン車のようにエンジンの回転数を上げる必要がないため、スムーズな加速が可能です。

●静粛性が高い

モーターで駆動するEVは、発進から走行も静かです。エンジン音や振動がほとんどないため、車内は静粛性が高く、快適な空間です。ガソリン車のようなエンジン音を発しないため、早朝や夜間の走行時も、周囲への騒音を気にする必要がほとんどないのも大きな利点でしょう。

4. EV のデメリット

EVは、従来のガソリン車と比べるとまだ課題も多いのが現状です。ここでは、EVの普及を阻む主なデメリットについて解説します。

●車両価格が高い

EVはエンジンや燃料タンクが不要なシンプルな構造のため本来コストメリットがあります。しかし、搭載するリチウムイオンバッテリーが高価なため、車両価格が高くなる傾向にあります。

EVの価格の高さが普及の障壁の一つとして考えられるでしょう。日産の軽EVの「サクラ」でも価格帯は約255万〜304万円で、同クラスのガソリン車「デイズ」の約144万〜約200万円と比べると1.5倍以上の価格差があります。

●充電設備が必要

日常的に充電する場合、事務所の駐車場に充電設備を設置する必要があり、充電設備の費用や工事費用にコストがかかります。

また、外出先でも充電を多く行う場合、急速充電スタンドがある場所を探す手間がかかるでしょう。今後さらなる充電インフラの整備拡充に期待したいところです。

●航続可能距離が短い

EVの1回のフル充電で走行できる航続可能距離は、一般的に200~600km程度です。対してガソリン車は、満タン時に500~1500kmの航続距離があります。長距離運転をする機会が多い人には、途中で充電が必要になるため不安が残るでしょう。

●充電時間が長い

EVの充電は時間がかかるのもデメリットです。車種やバッテリーの状態によって異なりますが、普通充電で満充電まで7~14時間、急速充電でも30分~1時間近く必要とされています。ガソリン車なら給油は数分で完了するので、充電にかかる時間は課題といえるでしょう。

また、急速充電はできる場所が限られており、ガソリンスタンドのように公共エリアに充電スポットが少ないのも不便な点です。

5. EVのデメリットはどうやって解消できる?

EVのデメリットは、適切な対策をとることで軽減できます。ここでは、EVのデメリットを解消する方法を紹介します。

●補助金や優遇税制を活用する

補助金を活用することで購入時の車両価格を抑えられます。国のEV補助金「CEV補助金」は、自治体の補助金と併用できるため、より費用を抑えることが可能です。個人に加えて地方公共団体や企業も補助金の受給対象となっています。

さらに、充電設備についても補助金の対象です。ただし、補助金の対象となる充電設備の型式があるので、導入前に一度確認する必要があるでしょう。

加えて、EV独自の税制優遇制度も充実しています。自動車税や自動車重量税が軽減されるため、ガソリン車よりもおトクになるでしょう。

※参照:一般社団法人次世代自動車振興センター「CEV補助金」「充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金」

●計画的な充電を行う

EVはガソリン車と違って「基礎充電」ができるのが大きなメリットです。事務所へ戻った際にケーブルをつなぐだけで手軽に充電できるため、ガソリンスタンドに立ち寄る手間が省けます。また、営業や送迎などの用途であれば、200km程度の航続距離で十分カバーできることが多いでしょう。

長距離運転の場合でも、事前に充電スポットを調べたり休憩時に計画的に充電したりすることで、不便さを抑えられます。

非利用時の基礎充電や移動途中での経路充電などで計画的に充電を行うことで航続距離や充電時間の不安を解消できます。

6. 社用車EVの導入/活用事例

企業や自治体による社用車のEV導入が進んでいます。背景には脱炭素社会の実現に向けた取り組みなどがあり、環境負荷の低減やコスト削減、リスクマネジメントといったさまざまなメリットが期待できます。ここでは、NCSがサポートしているさまざまな業界でEV導入を進める企業の事例を紹介します。

●株式会社アクティオさま

建機レンタル業界のリーディングカンパニー株式会社アクティオさまは、業界のカーボンニュートラルをリードするべく、社用車のEV導入に取り組みました。

東京都を中心に25台の軽EVを導入し、年間43.2tのCO2排出量削減が見込まれています。

※参照:NCS「導入/活用事例 株式会社アクティオさま」

●株式会社カインズさま

家具・ホームセンター事業を全国展開する株式会社カインズさまは、「Scope1」のカーボンゼロに資する取り組みだけでなく、有事の際の非常電源として使用するために導入しました。

本社が位置する本庄市とは「電気自動車を活用したSDGs連携協定」を締結し、有事の際のEV・充電設備の無償貸与を通して、地域の安全と安心を守るという責務を果たします。

※参照:NCS「導入/活用事例 株式会社カインズさま」

7. EVの導入が向いている企業の特徴は?

EVは利用シーンによっては必ずしも利便性が高いとは限りません。EVの特性を理解し、用途や目的に合わせて見極めることが大切です。ここでは、EV導入に向いている企業の特徴を3つ紹介します。

●都市部での利用が多い

EVは街中を頻繁に走行する場合に利便性が高いといえます。EVの充電スタンドは都市部に集中しているため、比較的容易に充電スポットを見つけることができます。

また、EVはガソリン車よりも燃料代が割安になるため、ランニングコストの削減にも繋がります。

●短距離を走行する機会が多い

EVは1回の充電で航続距離がガソリン車より短い傾向にあります。しかし、普段の移動が短距離中心であれば、充電切れの心配はほとんどなくEVはとても利用しやすいでしょう。

●環境保全の取り組みに関心がある

環境問題に関心を持つ企業の多くは、クルマの電動化に大きく注目しています。走行時にCO2や排気ガスをまったく出さないクリーンな自動車として、以前から環境技術の本命とされてきました。

現在はまだガソリン車が主流ですが、環境への配慮とランニングコストの安さから、EVへの関心は今後ますます高まるでしょう。

8. まとめ

EVはCO2を排出せず静かで経済的である一方、車両価格が高く、充電時間が長いなどの課題もあります。メリット・デメリットを正しく理解し、用途や目的に合わせて選ぶことをおすすめします。

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