2024.6.4

EV(電気自動車)とは?特徴や種類についてゼロから解説!

カテゴリー:コラム
テーマ:EV/環境・脱炭素/コスト最適化

EV(電気自動車)は、走行時にCO2を排出せず、環境負荷が少ないクリーンな次世代自動車として注目を集めています。ガソリン車に比べ、燃料費が安く経済的なのも魅力です。一方で、航続距離や充電インフラ、車両価格などの課題もあります。

本記事では、EVの仕組みや特徴、メリット・デメリット、普及状況などを解説します。また、EVの導入を検討する際のポイントもご紹介。ぜひ、リースや購入判断にもお役立てください。

1. 電気の力だけで走る自動車、EV

●EVの定義

EVとは「Electric Vehicle」の略で、日本語では「電気自動車」と呼ばれています。バッテリーに蓄えた電気エネルギーをモーターで動力に変換して、走る自動車です。
実は、EVは電動車の一部に過ぎません。電動車とは、電気を動力源とする自動車の総称で、電気自動車の他にもプラグインハイブリッド車やハイブリッド車、燃料電池自動車なども含まれます。

●電気自動車、電動車と何が違うのか

電動車とは、バッテリーの電気を動力のすべてまたは一部として走行する自動車の総称です。電気自動車はその一部であり、電気のみで走行します。
一方、プラグインハイブリッド車やハイブリッド車は、モーターとエンジンの2つの動力源を持ち、状況に応じて使い分けながら走ります。また、燃料電池自動車は、水素を燃料として発電し、その電気でモーターを駆動する仕組みです。

●EVには大きく4つの種類がある

EVには動力源や駆動の仕組みによって、大きく4つの種類があります。

BEV(Battery Electric Vehicle)

バッテリー式電気自動車がBEVです。一般的にEVと呼ばれるものはこのBEVを指します。電気のみを動力源とし、エンジンを搭載していないことが特徴です。走行時にCO2や排ガスをまったく出さないクリーンな自動車として、以前から環境技術の本命と称されてきました。

※以下、EVは電気自動車(BEV)をあらわす。

HEV(Hybrid Electric Vehicle)

HEVは、エンジンとモーターの両方を搭載するハイブリッド車を指します。エンジンで発電した電気をモーターに供給する方式で、家庭用電源からの充電は不要です。

HEVは3つの方式に分類されます。エンジンで発電機を駆動し発生した電力を使ってモーターで走行する「シリーズ方式」と、エンジンで走行し、発進・加速をモーターでサポートする「パラレル方式」、そしてエンジンとモーターを上手に使い分けて走行する「スプリット方式」の3種類です。
これらの方式はいずれも高電圧のモーターを搭載しており、「ストロングハイブリッド」と総称されています。一方で、モーター機能を持つ発電機を搭載し低電圧ながらも小型軽量化を実現した「マイルドハイブリッド」と呼ばれるシステムも存在します。

PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)

プラグインハイブリッド車は、外部電源からの充電が可能なハイブリッド車で、EVとHEVの長所を併せ持った仕様といえます。
通常はEVとして電気で走行し、バッテリー残量が少なくなるとエンジンを使ったHEVモードに切り替わります。万一、充電切れになってもエンジン走行に移行できる点が魅力です。

FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)

FCEVは燃料電池自動車を指します。水素を燃料に発電する燃料電池を搭載し、発電した電力でモーターを駆動します。排出は水だけになるため環境に優しい点が注目を集めています

2. EVの特徴

ここでは、EVの特徴である電力源、充電方法、加速性能、非常用電源としての活用の可能性について解説します。

●電力が動力源

EVは、バッテリーに蓄えた電気のみを動力源として走行します。一方、エンジン車は燃料であるガソリンや軽油を使って走ります。両者は駆動力を生み出す装置が全く異なり、EVではモーターが、エンジン車ではエンジンがその役割を担っています。

EVのモーターは電気を駆動力に変換し、その電気を供給するのが駆動用バッテリーです。駆動用バッテリーは、エンジン車のガソリンタンクに相当する部分で、電気を蓄えておく役割を担います。

●充電の種類がある

EVの充電方法には、外部からの充電と車内の動力を使った回生充電の2種類です。外部充電は普通充電と急速充電に分類され、普通充電は自宅などの200Vコンセントを使用します。ただし、充電時間は車種によって異なります。

●加速力が強い

EVはモーターで走るため、エンジン車と比較して騒音や振動が少なく、快適な走行を実現しています。
加えて、モーターは発進時から最大トルク(タイヤを回す瞬間的な力)を発生させることができるため、タイムラグのないスムーズな加速が可能です。

●非常用電源として活用可能

EVは「走る蓄電池」とも呼ばれ、大容量のバッテリーを搭載しています。例えば、40kWh/62kWhのバッテリーを備えた日産リーフ(ZE1型)は、一般家庭の1日平均消費電力量12kWhの約2〜4日分に相当する電力の蓄えが可能です。

※参照:日産自動車株式会社「リーフ[LEAF]蓄電池利用」

この大容量バッテリーは、非常時の電源としても活用できるメリットがあります。EVやPHEVは急速充電用の給電口から、FCVは給電口から「可搬型給電器」や「充放電設備」などの「給電端子」に接続することで、電化製品への電力供給ができます。

3. EVを利用するメリット・デメリット

●メリット

EVの利用には、次のようなメリットがあります。

・走行時の環境への負荷が少ない
・静音性が高い
・燃料費が抑えられる
・補助金が適用される
・減税の適用がある

EVのメリットは、走行中にCO2を排出しないことによる環境負荷の低さと、ガソリン車と比較してエネルギー効率が高いことです。また、走行中の騒音や振動が少ないため、早朝や深夜も比較的静かに走行できます。

経済面では、電気代がガソリン代より安く抑えられる点に加え、国や自治体の補助金制度や税金の優遇措置を受けられるため、定価より安く購入できる可能性もあるでしょう。

●デメリット

EV利用のデメリットとして、以下が挙げられます。

・航続可能距離が短い
・充電設備が必要
・車両の価格が高い
・保険料が高い

EVのデメリットは、フル充電時の航続可能距離がガソリン車と比べて短いことです。また、自宅での充電には専用の設備が必要になるため、集合住宅では設置スペースの確保や住民の同意が必要となる場合があるでしょう。

さらに、EVの車両価格はガソリン車に比べて高く設定されています。大きな要因は、リチウムイオン電池を使用していることです。原材料であるリチウムの高騰やEV需要の増加などの理由で、車両価格を押し上げています。また、車両価格の高さから、任意保険の保険料も割高になる場合もあります。

4. EVの普及状況

ここでは、EVの普及状況と今後の見通しについて解説します。

●EVなどの普及率は年々増加している

EVなどの販売台数は年々増加しています。2019年から2022年までの年度ごとに集計したEVなどの販売台数は次の通りです。

2019年の販売台数は39,642台でしたが、2023年には141,100台まで増加していることから、順調に普及が進んでいるといえるでしょう。

●EVの車種ラインアップも増えている

国内のメーカー別EVのラインアップは次の通りです。

各自動車メーカーからさまざまなEVなどが販売されており、車種ラインアップは拡充されつつあります。営業車や役員車としても適したEVなどが増えており、選択肢はさらに広がるでしょう。

●EVで脱炭素社会実現へ

企業が社用車をEVにすることは、脱炭素社会実現に向けた具体的なアクションであり、企業の環境への姿勢や先進性をアピールするツールになるでしょう。また、災害時には大容量バッテリーを非常用電源として活用することで災害レジリエンス(回復力)を高めるメリットもあります。

●充電インフラの整備状況

現在、全国には3万2千以上のEV充電スタンドがあります。同時に、高速道路のSA・PAへの急速充電器整備も進行中です。一方で、設置スペースの確保や長期運用、事業採算性などの課題もあります。政府は2030年までに充電インフラを15万基設置の目標を掲げており、充電インフラのさらなる拡充が期待されています。

なお、2023年3月時点でEV充電スポットは19,764カ所あります。これは、2023年3月時点のガソリン車の給油所27,963カ所と比較すると約7割に匹敵するところまできています。さらに、2024年3月の最新情報では、EV充電スポットは21,549カ所まで増加しており、着実に充電インフラの整備が進んでいることが分かります。

※参照:経済産業省資源エネルギー庁「令和4年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました」
※参照:GoGoEV「EV充電スタンド2024年3月の設置数集計レポート」
※参照:経済産業省「充電インフラ整備促進に向けた指針を策定しました」

●政府の取り組み

政府による積極的な支援策もEV普及の追い風となっています。「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」は今後も継続される予定です。2023年11月に成立した令和5年度補正予算では、EV購入補助に1291億円、充電インフラ整備に400億円が割り当てられました。

こうした手厚い補助金により、初期費用の高さというEV購入のハードルが下がり、普及の加速が期待されます。政府の強力なバックアップにより、2024年以降のEV市場のさらなる拡大が予想されるでしょう。

※参照:一般社団法人次世代自動車振興センター「CEV補助金」

●EVの経済性

EVは効率的にエネルギーを使用でき、電気を動力に変換する効率は9割を超えます。また、減速時や下り坂などではモーターから電気を発生させ、その電気をバッテリーに蓄える回生エネルギーにより発電し、バッテリーの充電が可能です。

メンテナンス面でも、エンジンオイル交換が不要なためコストを抑えられます。税金面ではEVは自動車税と自動車重量税が安くなる傾向です。

5. EV導入のポイント

EVは効率的にエネルギーを使用でき、電気を動力に変換する効率は9割を超えます。また、減速時や下り坂などではモーターから電気を発生させ、その電気をバッテリーに蓄える回生エネルギーにより発電し、バッテリーの充電が可能です。

メンテナンス面でも、エンジンオイル交換が不要なためコストを抑えられます。税金面ではEVは自動車税と自動車重量税が安くなる傾向です。

●走行距離を考慮する

EVを導入する上で最も重要なポイントは、日常的な走行距離を経路充電※なしでカバーできるか分析することです。長距離走行には、バッテリー容量が大きい車両が必要です。しかし価格も上がるため、普段の走行距離を考慮して適切な車両を選ぶ必要があります。

※経路充電:目的地に向かう移動途中に行う充電(EV DAYSより)

●EV充電設備の設置方法の選定

EVを効果的に活用するには、充電器の選定や充電状況の管理がポイントです。使用していない時間に必要な充電ができる環境は、効率的にEVを利用するために欠かせません。駐車中の充電が可能なら、外出先での充電頻度を大幅に減らせるでしょう。

自宅もしくは事業所の基礎充電※は、ガソリンスタンドに行く時間を大幅に削減できるEVならではのメリットです。充電設備には自立スタンド型、壁付け型、コンセント型の3種類があり、設置場所や予算に応じて選択しましょう。

※基礎充電:自宅や勤務先など、長時間車を保管している場所で行う充電(EV DAYSより)

●維持費用と補助金

EVは電力会社の充電プランの活用で、ランニングコストを抑えられます。自動車税はグリーン化特例により最大75%軽減、自動車重量税はエコカー減税で新規登録時と初回車検時に免税となります。ガソリン車に比べ車両価格は高めですが、燃料費は約半分に抑えられ、長距離を走るほどEVが有利です。購入時には国のクリーンエネルギー自動車補助金に加え、自治体の補助金も併用できる場合があるため、初期コストの軽減ができるかもしれません。

※参照:一般社団法人次世代自動車振興センター

●CO2削減の取り組み

脱炭素を背景にEV導入を検討する際は、CO2削減効果の初期見積もりが重要です。特に営業車が多い企業では、ガソリン車からEVへの切り替えによりCO2排出量を大幅に削減できます。

CO2削減への取り組みはCSRの観点からも高く評価され、EV導入の大きなメリットとなります。導入時には走行距離と燃費を加味したCO2削減量を試算しましょう。

6. まとめ

EVは電気を動力源とし、環境性能に優れた次世代自動車です。航続距離や充電インフラ、車両価格などの課題はありますが、EVは、環境面や経済面のメリットは大きく、今後も拡大が見込まれるでしょう。

現在、EV普及に向けて国・自治体による支援策が進行中です。EVへの切り替えは企業の脱炭素化や社会的評価の向上につながるポイントになるでしょう。導入の際は、走行距離や充電設備、コストなどを総合的に検討することが大切です。

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