カインズの「くみまち構想」実現を
支える共創パートナー・
NCSのEVソリューション

株式会社カインズさま

総務部 総務グループ グループマネジャー
細井 涼氏

総務部 総務グループ
外山 大氏

業種:卸売・小売・飲食
導入サービス:EV導入
導入効果:環境・脱炭素

導入の背景/課題
EV導入に際し、走行距離や充電時間に関する懸念
当社のビジョンに寄り添った提案をしてくれるパートナー企業が必要
選んだ理由
当社と夢をともにする営業担当の熱意と誠意
当社とメーカーの間を取り持つNCSのネットワーク
導入の効果
ドライバビリティ(運転のしやすさ・操作性)の向上により、
運転者のストレスが軽減
企業イメージ向上・認知拡大に貢献

株式会社カインズは、29都道府県に238店舗(2023年11月末時点)を展開するホームセンターチェーンです。「くらし DIY」をブランドコンセプトに、日々のくらしを豊かにするオリジナル商品・サービスを開発し、お値打ちな価格で毎日提供してします。より良いくらしを提供するために、カインズでは商品の企画から設計、品質管理、物流、プロモーション、販売まで一貫してコントロールするSPA(製造小売業)を推進し、お客様一人ひとりの自分らしいくらしをサポートしています。

「まち」ごとカーボンゼロを実現するための
ファーストステップとしてEV導入を検討

左から総務部 総務グループ 外山 大氏、コーポレート本部 CSV推進部 部長 兼 くみまちプロジェクトリーダー 大西 健太郎氏、総務部 総務グループ グループマネジャー 細井 涼氏

左から
総務部 総務グループ 外山 大氏
コーポレート本部 CSV推進部 部長 兼 くみまちプロジェクトリーダー 大西 健太郎氏
総務部 総務グループ グループマネジャー 細井 涼氏



2021年に「くみまち構想*」を発表しました。これは創業以来、「商業を通して社会の発展に貢献する」ことを志に、各店舗が地域の皆様のくらしに寄り添いながら事業活動を行ってきた私たちならではの構想で、カインズの店舗やそこで働くメンバー(従業員)が、くらしに携わる様々なステークホルダーと協働/共創することで、「まちのくらし」づくりを行うというものです。「くみまち構想」の具体策第一弾として、2050年までのカーボンゼロ(CO₂排出量実質ゼロ)実現に向けた目標を策定しました。


*くみまち構想
「くむ」と「まち」をかけ合わせた造語で、全国各地に展開する店舗が、それぞれの地域における困りごとや関心、ニーズと向き合い、人々が自立し、ともに楽しみ、助け合える、一人ひとりが主役になれる「まち」(≒地域社会)の実現を目指す構想。


中間目標としては2025年までに自社店舗・オフィス・倉庫など建屋のカーボンゼロを達成し、2050年までにサプライチェーン全体のカーボンゼロを達成するとともに、カインズのある「まち」ごとカーボンゼロを達成するという目標です。小売業の多くが「Scope3」と呼ばれる製品の輸送・配送・使用・廃棄によるCO₂排出削減に取り組んでいますが、自社の店舗・サプライチェーンを超えた「まち」のカーボンゼロに貢献する小売業は日本全国、世界を見渡しても多くはありません。しかしながら、数千社のお取引様と数百万人のお客様の間にいる私たちだからこそ、社会に対して大きな影響力を有しています。「まち」ごとカーボンゼロは、地域社会に根ざす私たちの挑戦であり、ビジョンです。

左:2022年6月オープンのカインズ壬生店(栃木県)。店舗屋上に設置された太陽光パネルと、地元の木質バイオマス発電事業者から調達した電力で、店舗で使用する電力を100%再生可能エネルギー化。電気の地産地消でカインズ初のCO₂フリー店舗に。2025年までに90店舗への太陽光パネルの設置を目指す。
右:「資源循環」をテーマにした取り組みとして、古紙・段ボール・衣類・蛍光灯・電池などを回収するリサイクルステーションを各店舗に設置。自転車・ガステーブル・電子レンジ・消化器などの処分方法がわかりにくい特殊な商品も購入時に無料で引き取るなど、再資源化に取り組む。

左:2022年6月オープンのカインズ壬生店(栃木県)。店舗屋上に設置された太陽光パネルと、地元の木質バイオマス発電事業者から調達した電力で、店舗で使用する電力を100%再生可能エネルギー化。電気の地産地消でカインズ初のCO₂フリー店舗に。2025年までに90店舗への太陽光パネルの設置を目指す。

右:「資源循環」をテーマにした取り組みとして、古紙・段ボール・衣類・蛍光灯・電池などを回収するリサイクルステーションを各店舗に設置。自転車・ガステーブル・電子レンジ・消化器などの処分方法がわかりにくい特殊な商品も購入時に無料で引き取るなど、再資源化に取り組む。


EVを導入した経緯は、「Scope1」のカーボンゼロに資する取組というだけでなく、有事の際の非常電源として使用するためです。当社は一企業であると同時に、「災害時のライフライン」であり、「地域のインフラ」を担う企業です。本社が位置する本庄市とは「電気自動車を活用したSDGs連携協定」を締結し、有事の際のEV・充電設備の無償貸与を通して、地域の安全と安心を守るという責務を果たします。

当社では来店したお客様に貸し出すサービスカー、お客様宅の訪問や営業活動で使用する社有車、物流センターや倉庫内での搬送・出荷作業に用いるフォークリフト、合わせて1,500台以上の車両を管理しています。これらの車両をEVに切り替えていくことは、カーボンゼロ達成に向けた重要なステップ。しかしながら、現在の車両の選択肢からは走行距離や充電時間などを考慮すると、店舗のオペレーションにマイナスの影響を与える懸念がありました。そのタイミングでNCSに相談し、まずは実証実験を行うためにEV導入を決めました。

当社のビジョンに寄り添った提案と
自動車メーカーとのネットワークが心強い

初回で導入したEVは3台。三菱自動車のミニキャブ・ミーブを朝霞店(埼玉県)、前橋吉岡店(群馬県)、亀岡店(京都府)の3店舗にそれぞれ1台ずつ導入しました。多くの企業様からEV導入のご提案をいただきましたが、当社のビジョンやEV導入の目的に寄り添い、一緒になって活用方法まで考えていただけたのはNCSでした。営業担当の方にはEVを導入する前段階から、店舗での活用事例をご紹介いただいたり、当社のオペレーションに即したご提案をいただいたりと様々な選択肢をご提示いただきました。
ビジョンにそった提案のイメージ

NCSからの提案を踏まえ、当社でも活用方法に関する議論を重ねました。EVを導入するにあたって不安だったのは、やはり走行距離や充電時間の問題です。フル充電の航続距離である約100kmで完結できる業務を模索していたところ、「スマイルサービス」が思い当たりました。本サービスは店舗から10km以内のお客様を対象に、くらしのお困りごとやお住まいのメンテナンス、サポートを行う訪問サービスです。「スマイルサービス」での1日の走行距離が100km程度に収まる3店舗を戦略的に選択し、実証実験を開始しました。

「スマイルサービス」では1日3〜4件を回りますが、真夏にエアコンをフルでかけても1回のフル充電で問題なく走行。日によって訪問する住宅の間隔が異なるものの、「スマイルサービス」を受注するタイミングで訪問ルートを調整するなど、走行距離をコントロールするオペレーションを実施しています。多くの企業様がEVの走行距離や充電時間について不安視されていますが、当社では「充電1回分の走行距離が制限されている」ことがいい意味の制限となって最大効率を考えることができました。EVの電池切れを気にせず運転できるよう、店舗には充電カードも配布しているため、必要に応じて地域の充電スタンドを利用するというオペレーションも検討しています。

 特に感心したのが、NCSが当社と自動車メーカーの間を取り持って、利用者の声をフィードバックする機会を設けてくださったこと。現場のメンバーにも同席してもらい、EVの乗り心地や不安な点についてお伝えするための場でしたが、内装・インテリアに対する要望についても耳を傾けていただきました。標準仕様だった荷室のスペアタイヤを取り除き(パンク修理セットを設置)、またインテリアとしてバーを設置するなど、2024年度に納車されるEVは、当社の要望を全面的に反映いただいた車両になるため、現場のメンバーも満足してくれるはずです。

運転のしやすさ・操作性の向上により運転者のストレスが軽減
「EV」が企業イメージの向上につながる

EVを導入した店舗にアンケート調査を行ったところ、乗り心地については「全く問題ない」「快適」という声が届きました。私たちも試乗しましたが、EVの加速力と静粛性に驚きました。軽く踏み込んだだけで一気に加速するので坂道にも強いですし、車線変更や合流もスムーズ。また、車両から発生する騒音や振動を抑えているので、停車中のエンジン音や排気ガスを気にすることもありません。「スマイルサービス」では、荷室に工具や工事用の部材などを載せるため、荷重が大きくなりがちです。ガソリン車ではアクセルを踏み込んでもなかなか進まず、振動からくる体への負担も無視できませんでしたが、ドライバビリティ(運転のしやすさ・操作性)の向上により運転者のストレスを軽減することができ、健康面にも大きな効果があったと捉えています。

また、導入した車両には、オリジナルのデザインでラッピングを施しました。お客様のご自宅へ訪問する際にお客様の駐車場をお借りすることが多いのですが、駐車した瞬間にひと目で「EV」とわかるため、お客様や近隣にお住まいの方から「カインズさんもEVを導入されているんですね」「カインズさんは環境のことを考えているんだ」という嬉しいお声をいただく機会も増えました。車両の屋根にも社名を入れることで、住宅街を通行する際に、より多くのお客様に認知してもらいやすくなったと考えています。

オリジナルデザインのラッピングカー

本庄早稲田店(埼玉県)に導入された三菱自動車のミニキャブ・ミーブ。オリジナルのデザインラッピングはメンバーや近隣のお客様からも大好評。


当社は2025年までに自社店舗・オフィス・倉庫など建屋のカーボンゼロ達成を目指し、店舗屋上への太陽光パネル設置を進めています。2023年6月末時点でカインズ全店舗の約25%(56店舗分)の電力使用量のカーボンゼロ化を達成しました。EV導入によるCO₂削減効果についてはこれから検証する必要はありますが、店舗のメンバーや応対しているお客様からの反響を見ると、EV導入の効果は確実にあったと考えています。また、CO₂フリー店舗では、EVの燃料に再生可能エネルギーを使っているため、燃料費の削減につながっているはずです。ガソリン価格の高騰が長引いていることもあり、EV導入の効果をより実感しています。

「スマイルサービス」の車両からEV化

本部外観イメージ

本部外観

3店舗での実証実験を終え、2023年4月に小牧店(愛知県)、10月に浦和美園店(埼玉県)、11月に本庄早稲田店(埼玉県)に導入し、次年度以降も複数店舗への導入を計画しています。入れ替えのタイミングに応じてEV化を進めていくとともに、店舗に充電器を設置することで、お客様に貸し出すトラックも含めたEV化が期待できます。とはいえ、EV導入が目的となって現場のサービスレベルが低下しては本末転倒です。サービスレベルを落とさずに、運用面で工夫できるところは店舗にも協力いただきながら、まずは「スマイルサービス」の車両から、1年に1台でも多くEV化を進めていきたいです。

また、当社では営業活動に用いる社有車を多く抱えています。主に各店舗を回る際に使用していますが、1日あたりの走行距離が長いため、EVを導入するとなると選択肢は限られます。基本的に業務に集中できる車両でなければ、不安が少しでもあれば、導入すべきではないというのが個人的な考えです。NCSには、最新車種の情報提供や新たなEV活用のご提案という面からサポートいただければと考えています。当社が掲げる「くみまち構想」の実現には、地域の企業や学校、商店街といったパートナーとの協働/共創が欠かせません。当社のパートナーとして、「モビリティ」という面から、地域やまちの課題解決、価値向上にお力をお借りできれば幸いです。