2024.7.10
カテゴリー:コラムテーマ:EV/環境・脱炭素/コスト最適化
EV(電気自動車)とは、電気で動き走行時にCO2を排出しない次世代自動車です。EVの充電料金はガソリン代よりもお得と言われていますが、実際はどのくらい差があるのでしょうか?この記事では、利用シーンで変わる充電方法やEVの充電料金とガソリン代との比較についてまとめています。また、充電料金を抑えるちょっとしたポイントも紹介しています。そもそもEVって何? という方はこちらの記事から読んでみてください。EV(電気自動車)とは?特徴や種類についてゼロから解説!
EVの充電は、「基礎充電」「経路充電」「目的地充電」の3つの利用シーンに分けられます。それぞれの充電方法について分かりやすく解説していきます。
「基礎充電」とは、事務所や工場の駐車場など、普段クルマを駐車している場所で行う充電を指します。帰社してから次の利用までの間に充電する方法で、一般的には普通充電器で行います。
「経路充電」とは、高速道路のSA/PAや道の駅、コンビニなど移動途中で行う充電を指します。目的地に到着するまでに不足する充電量を補うための方法で、短時間で多く充電できるよう、急速充電器が設置されていることがほとんどです。
「目的地充電」とは、商業施設や宿泊施設などの目的地となる滞在先で行う充電を指します。経路充電と比べ一定時間以上滞在することが想定されるため、普通充電器を設置している場合が多いですが、場所によっては急速充電器のケースもあります。
充電方法には普通充電と急速充電の2種類があり、充電時の出力や充電器の規格が異なります。普通充電は3kWと6kWの2つの出力が主流で、急速充電は50〜150kWの高出力充電が普及しています。充電方法や充電器の規格などはこちらの記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。EV(電気自動車)の充電時間はどれくらい? 効率的な充電のコツも紹介
EVの充電料金は、普段クルマを長時間駐車する場所で行う「基礎充電」と、外出先や目的地に向かう途中のスポットで充電を行う「経路・目的地充電」のどちらの方法で充電するかによって変わります。
基礎充電には普通充電器を利用することが一般的ですが、主に事務所などの電源を使うため、充電料金は毎月の電気代に加算される形となります。充電料金は「バッテリー容量(kWh)×電力料金単価(円/kWh)」で計算することができます。日産サクラ(20kWh)、日産リーフ(40kWh)、日産リーフe+(60kWh)の3種類で電気代を比較したところ、1回の満充電にかかる電気代は600〜1,900円ほどかかる計算となりました。
外部の充電器を利用する場合、一般的には事前に充電カードを持っておく必要があります。充電カードとは、自動車メーカーや各社が発行しているカードを充電器にかざすことで充電できる仕組みです。最近は、充電カード不要のスマホアプリによる決済にも対応した急速充電器も増えてきています。今回は、NCSが提携しているe-Mobility Powerカードでの充電料金を見てみます。e-Mobility Powerの会員カードは急速・普通併用プランで月額4,180円の会費がかかります。急速充電器の場合は1回30分までの制限があり、1回あたりの充電で825円かかります。仮に月5回ほど急速充電器を利用する場合、月額料金と都度利用料金の合計で8,305円かかる計算となります。また非会員でも充電器を利用することは可能です。e-Mobility Powerが設置・運営する急速充電器を会員カードなしでビジター利用した場合の料金は、30分間の充電で1,650〜2,695円になります(急速充電器の最大出力により単価が異なります)。経路や目的地で高出力の急速充電器を月5回利用する場合、ビジター料金の合計は11,550円となり、急速充電器を多く使う方ほど、会員になることでお得に充電できることが分かります。
参照/引用元:e-Mobility Power「e-Mobility Power会員料金のご案内」ちなみに、30分間の充電量の目安は、バッテリー容量別に以下のようになります。
EVの導入によるコスト面は、ガソリン車と比べてどれくらい変わるのでしょうか。ここでは充電料金とガソリン代を月単位、年単位で比較しながら解説します。
月に1,000km走行した場合の充電料金とガソリン代を比較していきます。今回はEVの日産サクラとガソリン車の日産デイズを例に試算しました。サクラは普通充電での基礎充電のみ、そして急速充電での経路充電のみの2パターンで算出しています。サクラが1,000km走行する際の充電料金は、基礎充電のみ場合は約3,800円、経路充電のみの場合は約11,200円と算出できました。一方で、デイズが1,000km走行する際のガソリン代は約7,500円でした。
なお、これらの数値はあくまで単純計算によるものです。実際の費用は、走行条件や充電・給油方法、電気料金やガソリン価格の変動など、さまざまな要因によって異なる可能性があります。
EVの導入を検討する企業にとって、最も関心が高いのは運用コストでしょう。特に、日々の充電にかかる電気料金は、重要な検討事項の一つです。以下では、効果的にコストを節約するためのポイントをご紹介します。
オフィスで契約している電気料金プランに合わせた基礎充電の計画を立てることで、電気代を抑えることができます。具体的には、一日の中で電力消費の多い時間帯を避けて充電を行うなどです。また、オフィスの電気契約プランを見直すことも節約のポイントです。特に管理する車両数が多くなるほど消費電力も増えるため、EV導入を機に電力会社の比較や料金シミュレーションなどをしてみるとよいでしょう。
太陽光発電システムや蓄電池などのエネルギーマネジメントシステムを導入することで、電気代を削減することができます。ソーラーパネルを導入し、自家発電した電気を使うことで電気代の削減に繋がります。また、蓄電池もセットで導入をすることで日中に発電した電力を蓄えておけるので、夜間も電気を購入することなく給電でき、よりお得になります。これらの導入は電気代の削減だけでなく、SDGsや脱炭素への取り組みとして企業価値の向上にも繋げることができます。
環境にやさしいエコドライブを意識することも、ランニングコストの削減に繋がります。例えば、急発進・急ブレーキなど「急」の付く動作を避けることや、タイヤの空気圧を適正に保ったり余計な荷物を降ろしたりすることは、EVの電費改善にも効果があります。これらはガソリン車と共通する点ですが、EV特有のポイントもあります。1つ目は冬のエアコンの暖房です。ガソリン車は走行時に発生する熱を利用するため燃費への影響は少ないですが、EVはエネルギー効率が高い分捨てている熱が少ないため、暖房を使うためには新たに熱を生み出す必要があります。エアコンよりもシートヒーターやステアリングヒーターを使う方が消費電力も少なくなるため、おすすめです。2つ目は、EVの大きな特徴の1つである回生ブレーキを有効活用することです。回生ブレーキとは、モーターの特性を利用して減速時のエネルギーを電力に変換する機能です。50〜100mほど手前から優しくブレーキを踏むことで回生ブレーキが作動し、電費改善の効果が高まります。
EVの充電料金は、「基礎充電」か「経路・目的地充電」のどちらで充電するかで変わります。それぞれの充電料金とガソリン代を比較した結果、基礎充電を中心に利用した場合はガソリン代よりもコストを抑えられるということが分かりました。また、計画的な充電やエネルギーマネジメントシステムの導入、エコドライブを意識することで充電料金の節約にもつながります。EVを導入する際には充電料金や運用方法なども合わせて検討しましょう。
EVリースの導入をワンストップで支援
NCSではEVの手配からメンテナンス、充電器の設置、さらには補助金の申請代行までワンストップサービスで提供しております。また、豊富なラインアップを取り揃えており、用途・目的に合わせてお選びいただけます。
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