2024.2.20

企業の車両管理の問題点とその改善策

カテゴリー:コラム
テーマ:車両管理高度化/業務効率化/安全運転・事故削減

車両管理は、自社保有であってもリース契約であっても管理者や使用者にとって負担になりやすい業務です。しかし、営業や納品など車を使って日々の業務を行っている企業にとって車両管理は欠かせません。そのため、業務負担の軽減は課題といえるでしょう。本記事では企業における車両管理の問題点や、改善方法を実例も交えて紹介します。

企業における車両管理とは

冒頭でも紹介した通り、車両管理は車を使用する企業にとって必要な業務の一つです。実際に車両管理業務が、どのように行われているのか紹介します。

(1) 車両そのものの管理
車検切れや保険の付保もれ、および整備不良に起因する事故などを未然に防ぐために、使用する車両情報を適切に管理する必要があります。記録・管理が必要となる主な情報として、
・登録番号やメーカ名・車種名など、車そのものに関する情報
・購入 or リースなどの情報
・車検などの整備状況が分かる情報
・修理や事故歴などの情報
・使用者や管理者の情報
・加入している保険の内容(証券番号だけでなく保険の付保条件)
などが挙げられます。

(2) 車両の稼働管理
車を購入(リース開始)してから、実際にどれくらい稼動しているのかを把握するのも車両管理業務の一つです。稼働状況が可視化されることで、次のような対策・検討が可能になります。
・適正な車両台数管理
稼働率の低い車両の削減・適正配置、コスト削減
・適切な車両入替時期の管理
経過年数・走行距離に基づく車両入替検討、故障リスク回避
・給油実績に基づいた燃費管理
EV車の導入検討、SDGs・GXへの対応
車の稼働状況の把握は、車両管理業務の重要なポイントです。

(3) 車両を使う運転者の管理
車を使用して業務を行う運転者の管理も重要です。免許証の有効期限はもちろんですが、運行前・運行後のアルコールチェックは欠かせません。さらに、業務中に危険運転や交通違反を行っていないかどうかも安全な運行のために必要となります。車だけでなく、人の管理も車両管理業務においては重要なのです。

(4) 車両コストの管理
企業で車を保有する方法として「購入」と「リース」の2つの方法があります。
購入の場合、購入費用や購入時期、減価償却の状況、車両のメンテナンス費用などの管理が必要です。さらに、税金や保険料(自賠責保険、任意保険)なども車両コストに含まれます。リースの場合は、リース料に車両代や税金、保険、メンテナンス料が含まれるのでコスト管理がしやすいといえるでしょう。いずれにしても車両コスト管理は重要です。

アナログな車両管理は負担が大きい

車両管理は、車の管理者だけでなく使用者である運転者にかかる負担も大きなものです。実際に車両を使用した際にどのような管理フローが発生し、どれくらいの作業が必要になるのでしょうか。ここでは、主に4つの管理業務を紹介します。

(1) 車両運行日報の作成
まず、保有している車を使った記録を残すために、車両運行日報の作成が必要です。日報には「運転者の氏名」「運転の開始および終了の日時」「運転した走行距離」などを記載します。
日報を手書きで作成する運転者からは「多忙な業務内で日報作成に時間が割かれる」といった声があります。日々日報を作成する稼働に不満を感じるケースが多いようです。

(2) 有料道路の利用の管理
企業によっては車単位や運転者単位ではなく、数枚のETCカードを都度運転者に渡して使用させるケースがあります。そうなると「誰がどれくらい有料道路を使ったか」を管理する必要があります。そのため、車両運行日報の他にETCカード用の管理ノートなども必要です。
ETCカードを利用した運転者は、運行日報の他に「どのインターから入り、どのインターで出た」といったETCの利用履歴をノートに記載するなどの手間が発生しています。

(3) 点検、整備の管理
安全な車両運行をするためには定期的な点検や整備の管理も欠かせません。
車両管理のフローでは、「車検満了日」・「法定点検の時期」・「登録番号または車台番号」・「点検時の走行距離」・「点検実施日」・「整備を実施した整備工場名や担当者名」などを車両ごとに確認し、記録・管理します。さらに、点検整備をした際に交換した部品の内容などの管理も必要です。そのため、多くの手間が発生します。
また、日頃から車を使用していく中で、運転者が自分自身で行う日常点検も欠かすことが出来ません。

(4) 使用者(運転者)の管理
トラブルの発生を防ぐために、車を使用する運転者の管理も徹底します。アナログな管理では、運行前に一人一人免許証の有効期限を目視確認したり、アルコールチェッカーを使った酒気帯び確認・記録を行ったりします。少人数の運転者であれば手間はそれほどかかりませんが、人数が多ければ負担は大きくなるでしょう。

車両管理はテレマティクスサービスの導入で大きく変えられる

従来型のアナログな車両管理の場合は、車両管理者だけでなく車を使用する運転者一人一人の負担が大きくなっていました。近年では、テレマティクスサービスの導入によって、車両管理業務の負担を軽減できます。以下で代表的な例をご紹介します。

車両情報の管理

複数台保有している企業にとって、使用している車の管理も大きな負担でした。
車両1台ごとに「登録番号」や「車検満了日」、「点検時期」、「車を使用している場所や運転者」、「自動車保険の証券番号」、「駐車場の位置(駐車番号)」など多岐にわたった管理が必要です。
リース車両であれば「リースの満了日」などもの管理も加わります。テレマティクスサービスの利用によって、これらの情報の一部をデータベース上で一元管理できるようになります。

稼働状況の管理

車両管理者にとって大切な業務の一つでもある「適正な車両配置やコスト管理」も、テレマティクスサービスの活用で負担を大きく軽減できます。使用している車両に車載器を取り付ければ、搭載しているGPSから運行状況の把握が可能です。さらに、どれくらいの距離を走行しているのかもわかります。
テレマティクスサービスで取得した運行データをもとに、各車両の稼働状況を調べることが可能なため、余剰車の見直しなどに役立てられます。

使用者(運転者)の管理

車両を使用する運転者が多い場合、管理も大変になります。しかし、テレマティクスサービスの活用で、免許証の有効期限管理など使用者の管理業務も軽減できます。
さらに運行中に危険運転などが発生した際に、車載器のカメラで撮影した映像や位置情報などを管理者や直属の上司に報告することも可能です。事故の発生を未然に防いだり、事故対応を迅速に行えたりするようになります。

NCSが提供するテレマティクスサービス

NCSでは、車両管理業務の負荷を軽減するソリューションメニューとして、「NCSドライブドクター」「Offseg」などのテレマティクスサービスを展開しています。ここではサービスの概要をご紹介します。

GPSトラッキングによる車両管理

GPSが搭載された車載器により、車両の現在地だけでなく走行軌跡を地図上で確認できます。また、車両運行日報の自動作成機能により、運転者の負担も軽減し業務の効率化に繋がります。

安全運転管理に役立つ危険運転イベントの記録

車載器によって記録されるデータにはGPSによる位置情報に加えて走行速度、急加速、急減速、急ハンドル等の危険運転が発生した際には発生状況や場所、状況を画像や動画で確認できます。

アルコールチェックアプリ

運転者向けとしてスマートフォン用アプリを提供しています。
このアプリには日常点検の入力に加えて、アルコールチェックの結果を登録しクラウド上に保管することで安全な運行を手助けしています。管理者はWEB上で結果を確認、管理できるので業務負担の軽減が可能です。

まとめ

車両管理業務は、管理者だけでなく使用者にも大きな負担がかかるため、他の業務の妨げになり得ます。特にアナログな車両運行日報の利用や属人的となっている管理手法を導入している企業においては、業務の効率の低下に加えて適正なコスト管理ができているかの判断が困難になります。会社のDX化の一環としてテレマティクス技術を活用することで、車両管理にかかる負担を大きく減らすことが可能です。

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