2024.2.1

テレマティクス技術がもたらすSDGs、GXについて

カテゴリー:コラム
テーマ:環境・脱炭素/車両管理高度化

近年、さまざまな環境問題が話題になり注目されています。特に注目されているのは、「17個のゴールからなるSDGs」、「化石燃料からの転換を目指すGX」の2分野といえるでしょう。自動車業界においてはテレマティクス技術により、2つの分野について取り組もうとする動きも多くあります。本記事ではSDGsやGXの概要と、テレマティクス技術がもたらすSDGs・GXソリューションについて解説します。

SDGsとは何か

SDGsとは「Sustainable Development Goals」を略したもので、「持続可能な開発目標」を意味します。世界すべての人々にとって、持続可能でよりよい世界にするための目標です。具体的には、2030年までに気候変動や環境の劣化、貧困、平等、平和と公正などさまざまな問題の解決を目指しています。
この目標は、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。
17の目標(ゴール)・169のターゲットから構成されているSDGsは、発展途上国だけではなく先進国自身が取り組む普遍的なものでもあるのです。日本も積極的に取り組んでいます。

自動車業界におけるSDGsの例

前述した17の目標(ゴール)の実現に向けて、自動車業界はどのような行動を実際に起こしているのか解説します。

「3:すべての人に健康と福祉を」と自動運転

近年の自動車の先進技術として代表的なものが「自動運転」です。自動運転は、目標3の「すべての人に健康と福祉を」の実現と関連しています。車の各所に取り付けたカメラやセンサーが、車の全方位の情報を検知。そして、車に搭載したコンピュータが検知した情報を即座に分析することで実現できた技術です。
自動運転がもたらす効果は、交通事故の減少だけでなく、渋滞の解消・緩和、少子高齢化への対応として高齢者の移動手段の確保(公共交通の補完)、ドライバーの負担軽減も目指しています。

「7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と電動化

車の電動化は目標7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と深く関わっています。地球温暖化をもたらす大きな原因は温室効果ガスです。従来の自動車は、化石燃料であるガソリンを大量に消費して走行しています。その化石燃料は燃焼によって温暖化の原因となるCO2を排出するため、世界各国の自動車メーカーは、化石燃料の使用の抑制を目的としてBEV(バッテリーエレクトリックビークル=電気自動車)の開発を推し進めているのです。
自動車の生産においても、化石燃料に頼った火力発電から太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーを用いた発電方式にシフトする動きも起こっています。

「13:気候変動に具体的な対策を」とスマートムーブ通勤

目標13「気候変動に具体的な対策を」に関連するのが、スマートムーブ通勤です。スマートムーブ通勤は、自家用車を使った通勤の抑制を目的としています。
ガソリンを主な燃料とした車が走行するとCO2を排出します。CO2排出量を少しでも減らすために行っている取り組みの一つが、「スマートムーブ通勤」なのです。具体的には、電車やバスといった公共交通機関の利用や、短距離であれば自転車や徒歩での通勤を推奨しています。
仮に車を使ったとしても最寄りの駅までなどの利用にとどめ、CO2排出量の少ない電車を可能な限り利用にするなどの工夫も推奨しているのです。また、車通勤をする際は、ガソリン消費量の少ないエコ運転をするように工夫するのもスマートムーブ通勤の一環です。

GXとは何か

GXとは、Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略称です。温室効果ガスの原因となる化石燃料から、太陽光や水力、風力といったエネルギーで発電したクリーンなエネルギー中心の社会に転換させようとする取り組みです。ここからは、GXについて解説します。

GXが必要とされる背景

SDGs17の目標の7番目にある「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」とあるように、温室効果ガスを減らそうとする動きがあります。温室効果ガスを減らすためには、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が必要です。

GXを企業が取り組むメリットはあるか

クリーンなエネルギーへの転換を目指すGXに企業が取り組むのは、大きなメリットがあります。
具体的にはGXに取り組むことで国からの補助金などが期待できるだけでなく、企業全体としてのイメージの向上が図れるのです。また購入するエネルギーを減らすことで、トータルコストを削減できるメリットも出てきます。最近は、電気料金の高騰が目立ってきているため、太陽光パネルなどを設置すれば長期的な視点でのコスト削減も見込めるでしょう。

テレマティクス技術でSDGsやGXを解決できるか

化石燃料であるガソリンを主な燃料としCO2を排出する自動車を業務で利用する企業にとって、SDGsやGXに取り組むことは急務です。テレマティクス技術で温室効果ガスを削減できるのか、実際に活用している例を紹介します。

車の稼働状況から無駄を削減する

運送業や営業で車を利用している法人では、どの車がどれくらい稼働しているのかの把握が必要です。車両管理にテレマティクス技術を活用すると、それぞれの車の走行距離などの稼働状況を把握できます。すると、人員の配置などで車が余っている状況を避けられるのです。特に複数の営業所がある法人などでは適正な車両配置によって、無駄な経費の削減ができるでしょう。

CO2排出量を見える化する

テレマティクス技術によって、CO2排出量の見える化が可能になります。車に搭載するカーナビは、テレマティクス技術の進歩によって外部と通信する機能を有したものが増えてきました。
例えばカーナビ同士の通信によって道路の渋滞状況をリアルタイムに共有し、ナビの案内に反映させることでガソリンの消費量の抑制につながります。さらに、渋滞時のアイドリングで減らしたガソリン消費量を、カーナビ上や車の情報画面でドライバーに示します。そのため、環境に対する意識をドライバーに植え付けられるのです。

NCSでは、テレマティクス技術の活用により「車両の稼働状況率を可視化」「走行距離と給油データからCO2排出量を算出」などの機能を有した各種テレマティクスサービスを、法人ユーザー向けに提供しています。

まとめ

自動車業界では温室効果ガスを減らすためにSDGsやGXに取り組んでいます。高い目標数値を達成するためにはテレマティクス技術の活用が必要不可欠です。車を利用するユーザー一人一人が環境に対する意識を強く持つことで、明るい未来を迎えられるでしょう。

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