原付生産終了で配達事業者はどうするべき?豊洲市場におけるEVバイクの導入事例・活用方法を紹介

豊洲市場

 築地和田久さま
 駿河屋さま
 乾物秋山さま
 割烹かまいちさま

業種:卸売・小売・飲食
導入サービス:EV導入
導入効果:環境・脱炭素/安全運転・事故削減/業務効率化/コスト最適化

豊洲市場の看板の写真

2025年11月以降、排出ガス規制(排ガス規制)の強化に伴い、ガソリンエンジンを動力とする総排気量50cc以下の原動機付自転車(原付)の生産が終了となります。排ガス規制の対象となるのは2025年11月以降に生産される総排気量50cc以下の原付であり、現在ご利用中の原付は引き続き利用することができます。しかし今後、修理やメンテナンス時の部品調達に影響を及ぼすと考えられており、配達事業者の多くが対応を迫られています。バイクメーカー各社が50cc以下の原付の生産を終了する方向に舵を切るなかで、原付の代替として排気ガスを出さないクリーンなEVバイクに注目が集まっています。

2018年10月に開場した豊洲市場は、築地市場の約1.7倍の広さを誇り、青果棟、水産仲卸売場棟、水産卸売場棟の3つの街区で構成された広大な総合卸売市場です。広大な屋上の一部には都内最大級の太陽光パネルを設置しており、再生可能エネルギーを活用するとともに、屋上緑化を進めるなど「エコな市場」としてさまざまな取り組みを行っています。今回は、豊洲市場でEVバイクを運用する企業に、導入の目的や背景、活用方法についてお話を伺いました。

 

三輪ならではの安定感ある走りで、荷くずれしにくく坂道も安心

店舗前に立つ 築地和田久 代表取締役専務 和田 興保氏の写真

株式会社和田久
築地和田久 代表取締役専務
和田 興保氏


当社は、創業大正14年のかつお節削りの老舗です。かつお節の本場である鹿児島・枕崎産の厳選されたかつお節は、料理に深いコクと風味を与え、高級ホテルや料亭の料理人から愛され続けています。近年は、世界的な日本食ブームが巻き起こるなかで、かつお節の海外市場を開拓するためにヨーロッパへ進出。現地スペインで、兄である当社の社長自ら削り節の製造工場を設立し、EUの厳しい食品規制に適応したかつお節の製造・販売を行っています。

東京都中央卸売市場の上空からの写真(提供:東京都中央卸売市場)

(写真)提供:東京都中央卸売市場


豊洲市場は日本初の全館閉鎖型卸売市場として、エリアごとに適温管理、衛生管理を行っています。生鮮食料品を高温や風雨の影響から守り、鮮度を保つことができるようになった一方で、一部の場所ではガソリン車の通行が禁止されています。築地市場では、当社を含む多くの店舗が自転車で配達していましたが、施設が縦に伸びたことで上下階への移動が増え、EVバイクを導入せざるを得ませんでした。

しかしながら、はじめに導入したEVバイクは二輪だったこともあり、安定性と積載能力に欠けていました。特に、水産仲卸売場の床は濡れて滑りやすく、事故も少なくありません。市場内は小型運搬自動車「ターレ」が縦横無尽に走り回っており、その間を縫って運転していくことを考えると、一回の配達で運べる荷物を減らしてでも安全に運転するよう指示していました。

従業員の安全を守り、安心して働ける環境を整備していこうと考えていた時に、ほかの店舗から日本カーソリューションズ(NCS)を紹介いただきました。当社のEVバイクの用途や活用シーン、課題について伝えたところ、Hondaの電動三輪スクーター『GYRO e:』(ジャイロ イー)をご提案いただきました。三輪ならではの安定感ある走りで、コーナーリングも問題ありません。また、大型のリアデッキは荷くずれしにくく、常時20〜30kgほどのケースを載せた状態でもスイングをせず安定した走行が可能です。市場内はスロープも多いのですが、登坂性能にも優れており、荷物を積んだ状態でも難なく走行できています。快適な乗り心地に満足したため、現在は2台目を導入し、市場内での配達に利用しています。

リアデッキに20〜30キロほどの荷物を載せている写真

リアデッキに20〜30キロほどの荷物を載せても安定した走行が可能


EVバイクを導入するにあたって、航続距離に不安を感じている方も多いと思いますが、当社では配達先や充電のタイミングを工夫することで、対応しています。1日の業務の流れとしては朝4時から10時頃まで配達を行い、それ以降は必要に応じて使用。1充電あたりの走行距離を計測してみると、1日使用して次の日の朝7時頃に予備のバッテリーに交換することが多いです。市場外のお客さまへ配達する場合は原付を選択することもあります。配達件数によってはバッテリー残量が不安になることもありますが、今後バッテリーの性能が高まっていけば、市場外のお客さまへの配達や従業員の通勤など、さらなる活用が期待できると考えています。

 

バッテリー交換方式で、配達の効率アップ

店舗前に立つ株式会社駿河屋 営業部 矢吹 賢太氏の写真

株式会社駿河屋 営業部
矢吹 賢太氏


当社は「大根のツマ」をメインとした新鮮な野菜や果物の専門店です。昭和42年の創業以来、お客さまにご満足いただける一品を届けることを大切に、その時期に合った品種を種から選定し、和食料理を引き立てる大根のツマやにんじんのツマ、大葉、パセリなどの添え物をはじめ、全国の契約産地で獲れたこだわりの果物や野菜を全国のスーパーや学校法人などに卸しています。

当社では『GYRO e:』を3台導入し、主に通勤や配達で活用しています。当社にとって、バイクは単なる配達手段ではなく、日々のビジネスを支える重要な乗り物。より少ない時間で、より多くのお客さまに商品を届けるには、バイクの性能が最も重要です。以前は別のEVバイクを導入していましたが、充電時に直接プラグを差し込むタイプだったため、充電する時間にしばられてしまい、もどかしさを感じていました。その点、『GYRO e:』は充電が切れても、予備のバッテリーに切り替えれば待ち時間なく走り出せるので、配達の効率が向上しました。

私たちの取り扱う果物や野菜は、1個あたりの重量はそこまでありませんが、物が多いとそれなりの重量になります。以前は距離の離れた青果棟から果物や野菜を運ぶ際に、加速が物足りなくストレスを感じていましたが、『GYRO e:』に乗り替えたことで移動に対するストレスはほとんど感じなくなりました。リアデッキに荷物を載せても安定感があり、近場であれば市場外への配達も問題ないです。

バッテリー交換している写真

「バッテリーは交換式なので、交換したらすぐに走り出せる」と利便性を語ってくれた矢吹氏。


通勤で使用していることもあり、1日1回はバッテリーを交換していますが、扱いやすいハンドル形状のバッテリーなので交換しやすく、手間に感じることはありません。むしろ、充電を待っている時間がなくなったことの方がメリットとして大きいと考えています。

 

航続距離やバッテリーに対する懸念を上回る利便性を実感

店舗前に立つ清光商事株式会社 乾物秋山 代表取締役 秋山 竜吾氏の写真

清光商事株式会社
乾物秋山 代表取締役 秋山 竜吾氏


当社は豊洲市場内「魚がし横丁」に店を構える乾物・割烹材料の専門店です。迅速・丁寧をモットーに、創業80年以上にわたって椎茸・昆布・豆類などの乾物、割烹材料を販売しています。

当社が取り扱っている乾物・割烹材料は、レストランやスーパーなど業務用の商品です。一度に配達する量も多いため、築地市場の頃から原付三輪スクーターの『GYRO』を配達時に使用していました。小回りが利いて快適だったため、2018年に豊洲市場に移転した際に「『GYRO』のEVがあれば…」と思っていましたが、当時はまだ販売されておらず、やむなく他社のEVバイクをリースで導入することになりました。

最初導入したEVバイクはバッテリーの減りも遅く、当初は問題ありませんでしたが、次第に部品の劣化や破損が見られるようになったのです。水産卸売場棟の床は常に濡れており、また「ターレ」やフォークリフト、バイク、自転車などさまざまな車両が行き交っています。急なスロープも少なくありません。そんな過酷な環境下で発進と停止をくり返すため、バッテリーの“持ち”よりも、バイクとしての安定感や耐久性が重要だと気づかされました。

そこで、リース期間終了のタイミングで『GYRO e:』に乗り替えました。さすが日本のバイクメーカーというだけに、走りの安定感はガソリン車とほぼ変わりません。坂道での停止から発進がスムーズで、荷物を載せても余力ある走りを見せてくれます。もちろん、以前のような部品の劣化や破損もほとんどなく、修理にかかるコストも削減できました。まさに、安全・安心・便利なバイクだと思います。日本カーソリューションズ(NCS)には当社が求めていたEVバイクを紹介いただいたことに加えて、補助金の申請などもサポートいただき、本当に感謝しています。今のところ一度の故障もなく利用できていますが、不具合が出てきたら相談したいと思います。

EVバイクのリアデッキの写真

リアデッキのストッパーを外し、荷が水平になるよう工夫。


新聞や郵便などの配達事業者の中には、EVバイクの航続距離やバッテリーに関して不安を感じている方も多いと思います。ガソリンであれ、電気であれ、燃料がなくなったら停車してしまうのはどちらも同じです。むしろ、バッテリーを交換するタイミングさえわかっていれば、利便性という点でも、燃料コストという点でもEVバイクの方が優れていると考えます。当社は朝方2〜3時から稼働し、7〜8時までにはひと段落着きますが、常に予備のバッテリーをフル充電にしておくことで、急な配達にも柔軟に対応しています。使い方を工夫することで、航続距離やバッテリーに対する懸念を上回るEVの利便性を実感いただけると思います。

 

コンパクトで、女性でも安心して乗れる「取り回しやすさ」

株式会社かまいち店内 跳ね鯛豊洲本店 店長 杉山 瑠菜氏の写真

株式会社かまいち
跳ね鯛豊洲本店 店長 杉山 瑠菜氏


当社は、「食を通じて喜びを創造する」をコンセプトに、割烹蒲一(おでん)、跳ね鯛(和惣菜・焼き魚弁当)、頂(三ツ星弁当)のブランドを展開する企業です。和食の基本である「引き算」の調理を心がけ、ないから足すのではなく素材の持ち味を引き出すことを第一に、厳選した素材の自然な持ち味にあらがうことなく、最適な下ごしらえ・調理で支えることを大切にしています。

跳ね鯛の店舗の多くは駅ビルに入っているため、一般の方を対象にしていますが、豊洲本店はほかの店舗と異なり、豊洲市場内のお客さまにお弁当やお惣菜を提供しています。EVバイクの用途はお弁当の配達です。以前は「ターレ」をリースしていましたが、補助金を利用できる点、またランニングコストを抑えられる点から『GYRO e:』に乗り換えました。

『GYRO e:』を運転してみて驚いたのは乗り心地です。私のような女性からすると、重量のある「ターレ」は取り回しが重く、特にコーナーリングの際に後輪が大きく振られることがありましたが、『GYRO e:』に乗り替えてからはそのようなこともありません。

何より便利なのが、後進アシスト機能。後ろに下がる時にモーターがアシストしてくれるので、駐車する場所から出し入れする時や狭い場所で方向転換する時に便利です。積載量という点では「ターレ」の方が優れていますが、1回に配達する量はそこまで多くないため、配達のタイミングなどを調整することで、十分にまかなうことができています。

日本カーソリューションズ(NCS)には、補助金の申請や故障時の修理対応をサポートいただきました。「EV」というと導入コストが高額になると考えている方も多いと思いますが、補助金を活用することでコストを抑えることができます。NCSの補助金申請サポートも手厚いため、安心してお任せすることができました。また、故障時も当社の希望に合わせて修理のタイミングを工場と細かく調整いただくなど、顧客に寄り添うNCSならではの対応に感謝しています。

世界各国で食品ロス(フードロス)が深刻化しており、大量のロスが発生することで環境問題や貧困問題、食糧不足にも関わるため、当社では提供食数の設定精度を高めるなど、毎日の食事の廃棄ゼロを目指しています。食品ロスの削減は、貴重な資源の節約に加えて、温室効果ガスの削減にもつながります。豊洲市場の屋上の一部には太陽光パネルが設置されており、市場内で使用する電力の一部は太陽光で作られた電気を使用しています。つまり、EVバイクを使用することは環境への負荷軽減につながるもの。今後はEVバイクをより効果的かつ効率的に運用するにはどうしたら良いか、その知見を積み上げながら、運用方法についても最適化を図っていきたいです。

 

EVバイクの導入をワンストップでサポート!
まずはNCSへご相談ください


2025年11月以降の排ガス規制強化により、総排気量50cc以下の原付の生産が終了します。日本カーソリューションズ(NCS)では、オートリースという枠にとどまらず、EVバイクの導入までサポート。豊富な導入実績に基づき、EVバイクの手配から補助金の申請、故障時の修理対応に至るまで、ワンストップでバックアップしています。
「EVバイク」というと、航続距離やバッテリー性能、坂道利用を不安に思われますが、他社の導入・活用事例をもとに、お客さまに最適な使用方法や環境整備等をご提案します。導入を検討している企業さまには、EVバイクの試乗会およびトライアルも行っております。EVバイク導入をご検討中の方は、実績豊富な日本カーソリューションズ(NCS)にお気軽にご相談ください。

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