グリーンコープのカーボンニュートラル達成を目指すパートナー・NCSのEVソリューション

一般社団法人グリーンコープ共同体さま

代表理事兼グリーンコープ生活協同組合連合会 会長
日高 容子氏

業種:卸売・小売・飲食
導入サービス:EV導入
導入効果:環境・脱炭素/働き方改革・コンプライアンス

導入の背景/課題
・組合員の1通の手紙がきっかけとなって、カーボンニュートラルへの取り組みが始動
・2027年までにカーボンニュートラルを達成するには、温室効果ガス排出量の多い配送用トラックや営業車両のEV化が不可欠だった
選んだ理由
・EV車両の手配から、車検・点検・故障修理などを含めた車両メンテナンス、補助金申請までワンストップで対応できる点
・NCSのネットワークを活かして、さまざまなメーカーの車両情報をタイムリーに提供してくれる点
導入の効果
・荷台の高さが低く、かつウォークスルー構造のEVを導入したことで、配送を担う女性スタッフの負担を軽減
・EVの動力源となる電気には「グリーンコープでんき」を利用。発電時と走行時のゼロエミッションを実現


一般社団法人グリーンコープ共同体(以下、グリーンコープ)は、西日本を中心に16の生協と約43万人の組合員が集った生活協同組合です。家族の健康と未来を守っていきたい、安心・安全な食べものを子どもたちに食べさせたいと願う母親の想いから出発し、平和な社会と安心・安全な環境づくりを目指しています。組合員自身が主役となって安全で環境にも配慮した商品の開発に取り組むとともに、食べものを生み出す「農業」や「環境」にまで目を向けて、さまざまな運動を行っています。

気候変動や環境問題に向き合うために
温室効果ガス排出量の多い配送用トラックのEV化を検討

グリーンコープ共同体 代表理事兼グリーンコープ生活協同組合連合会 会長 日高 容子氏の写真

写真 グリーンコープ共同体 代表理事兼
   グリーンコープ生活協同組合連合会 会長 日高 容子氏



グリーンコープは1988年の発足以来、環境問題への取り組みを「未来への責任・過去からの挑戦」と位置付けて、脱プラスティック・リユース・リサイクル容器・フードマイレージなどを推進してきました。しかし、カーボンニュートラルを事業のひとつとして取り組むようになったのは、組合員から届いた1通の手紙がきっかけです。「気候変動危機に対して、私たちに何かできることはないのか」という声に、各県の理事長が共鳴。気候変動危機は地球環境だけの問題ではなく、組合員一人ひとりの生活に直結する問題です。この問題に向き合わなければ、安心・安全な食べものが失われ、ひいては子どもたちの生命を育むことも、未来を守ることもできません。こうして2024年、オールグリーンコープとして気候変動や環境問題に向き合うために、「OUR GREEN」プロジェクトを立ち上げました。

OUR GREEN プロジェクトのロゴマーク

*OUR GREEN プロジェクト
カーボンニュートラルに向けた一連の取り組みのこと。気候変動や環境問題の解決を含め、カーボンニュートラルをより本格化するために立ち上げられた。ロゴマークは、組合員一人ひとりが小さなことから始め、グリーンコープを通して連帯することで、カーボンニュートラルを実現することを表現しており、右上が空いているのは、カーボンニュートラルは他人事ではなく、「あなたが加わって、完成する」という想いを込めている。


「OUR GREEN」プロジェクトでは、「2027年までに事業で排出する温室効果ガス0(ゼロ)」を目標に掲げ、「全車両の電気自動車(EV)化」「二酸化炭素を排出しない電気の利用推進」「国産品の充実による、輸送時に発生する温室効果ガスの削減」「リユース・リサイクルの推進」「ドライアイスの使用を大幅に削減するための保冷箱・蓄冷剤の開発」や「マングローブの植林」など、さまざまな取り組みを推進しています。

カーボンニュートラルを達成するためには、温室効果ガスの排出量を削減する必要があります。
まず、グリーンコープの事業から排出される温室効果ガスを調査したところ、総量約1万3,000トン(2021年度)のうち、配送用トラックが3分の1の約4,300トンを排出していることがわかりました。カーボンニュートラルをできるだけ早く効果的に達成するためには、配送トラック900台、営業車両400台、あわせて1,300台の脱炭素化が不可欠。
当初は水素燃料車への切り替えも検討しましたが、水素燃料車は導入のコストが大きく、水素を供給するための水素ステーションの数も多くありません。そこで、既存車両のリースで取引のあるNCSへ相談し、EV車両の情報提供を受けながらEV導入を推進することになりました。

車両の手配・メンテナンス・補助金申請対応まで
EV導入をワンストップでサポート


2023年11月には福岡西支部の全車両をEVに切り替え、2024年度中には60ある配送センターのうち、23の配送センターにEVを導入し、配送トラックの3割をEVに切り替える予定です。スピーディーにEVに切り替えられたのも、NCSのサポートがあってこそだと思います。

NCSを選んだ理由は、車両の手配に加えて、車検・点検・故障修理などを含めた車両メンテナンス、補助金申請対応までワンストップでサポートいただける点です。既存車両の大部分をNCSにお願いしており、EVへの切替えがスムーズに行える点や、さまざまなメーカーの車両情報をタイムリーに提供していただける点もNCSを選んだ理由です。

EVの導入を決める際は、各生協や組合員の理解を得ることにも注力しました。「安心・安全な食べものを子どもたちに食べさせたい」という母親としての想いは同じでも、EVに関する知識や理解度は一人ひとり異なります。オールグリーンコープとして、カーボンニュートラル達成にはEV導入が欠かせないことを広く呼びかけながら、組合員から寄せられる意見には必ず耳を傾け、その想いが事業に反映されるよう、何度も話し合いながら導入を進めました。



女性ドライバーの負担軽減に貢献
「グリーンコープでんき」の利用で発電時・走行時の二酸化炭素排出ゼロに


グリーンコープの配送を担当するスタッフは約7割が女性です。これまでも女性が運転しやすいよう、配送車両には軽トラックを導入するなど、その負担軽減に取り組んできました。今後も女性ドライバーが増えていくことを考慮して、EVを導入する前には女性スタッフと一緒に試作車を見学しました。配送で用いる保冷箱を持参し、実際に商品の積み込みを行うなど、女性スタッフの視点で運転のしやすさや使いやすさを確かめてもらいました。

導入したEVトラックは、荷台の高さが従来の約半分と低いため商品を持ったままでも乗り降りができ、またウォークスルー構造にしたことで、車外に降りることなく荷室へ移動することも可能。特に真夏や真冬においては室内外の温度差がドライバーの体力を奪いますが、「身体への負担がだいぶ減った」という声が寄せられています。台車の設置場所や室内灯のスイッチの位置についても、女性ドライバーの要望を取り入れていただき、スタッフも納得しているようでした。

また、導入した車両には、グリーンコープのマスコットキャラクター「元気くん」が描かれたオリジナルのラッピングデザインを施しました。「EV」であることがひと目でわかるデザインで、若い世代の方から声をかけられる機会が増えました。EVを通じてグリーンコープのサービスに関心を示す方も少なくなく、グリーンコープの組合員になることで、脱炭素に貢献できる、そう言っていただいています。さらに、トラックの背面に企業広告を載せるスペースを設け、グリーンコープの活動に賛同いただく企業様に出稿いただいています。企業様にとっては、広告を掲載することがカーボンニュートラルに貢献することにつながるため、大変ご好評をいただいています。

オリジナルラッピングされた車両が並んでいる写真:車両の屋根にも大きな「元気くん」が描かれたデザインは、マンションの上の階に住んでいる人たちに気づいてもらうためにこだわったポイント。

車両の屋根にも大きな「元気くん」が描かれたデザインは、マンションの上の階に住んでいる人たちに気づいてもらうためにこだわったポイント。

車両のEV化に加えて、動力源である電気にもこだわりました。導入したEVには一般社団法人グリーンコープでんき(以下、「グリーンコープでんき」)が供給する電力を利用。「グリーンコープでんき」が提供する電気は、バイオマス・太陽光・小水力・地熱などの自然エネルギーを利用した化石燃料に頼らない発電方法で作られ、さらには地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない「ゼロエミッションプラン」の電気です。つまり、グリーンコープの車両から排出される二酸化炭素は動力源の電気も含め、「完全にゼロ」を実現。

さらにはフードマイレージや、リユース・リサイクルの一連の取り組みと組み合わせることで、グリーンコープ事業の全工程で絶え間なく温室効果ガスを削減できるのです。EVの導入は、グリーンコープのカーボンニュートラル実現に向けて、大きな一歩となりました。



OUR GREENの「輪」を広げていくことで
カーボンニュートラル達成を目指す

グリーンコープ カーボンニュートラルEXPOに展示した車両の写真



2024年3月には、グリーンコープの取り組みを広く社会に伝えるための体験型イベント「グリーンコープ カーボンニュートラルEXPO」を開催し、約5,000人が来場しました。そのうち、1,600人は一般の参加者で、私たちの取り組みに対する関心の高さがうかがえます。グリーンコープが配送に使うEVトラックの展示をはじめ、メーカー6社による車両展示・試乗会では、多くの方にEVの乗り心地の良さを体験いただくとともに、グリーンコープの取り組みについて幅広く知っていただく機会となりました。これもNCSが持つ各メーカーとのネットワークがあってこそだと実感しています。組合員とグリーンコープを中心に作ってきた「OUR GREEN」の輪が、自動車メーカーや生産者さんにまで広がることで、「2027年までに事業で排出する温室効果ガス0」を達成する大きな一歩となりました。

生協は一般的に組合員の高齢化が進んでおり、どの生協も若年層の組合員の獲得が必要です。20〜30歳くらいまでのいわゆるZ世代は、上の世代に比べて環境問題に敏感で、かつ自分が納得するものを選ぶ傾向にあると言われています。その意味では、環境問題に積極的に取り組む姿勢をアピールして、若い世代からの支持を得ることが大切です。

「温暖化を食い止めるには便利な生活を我慢しないといけない」と考えている方もいますが、そんなことはありません。環境に配慮した商品を利用したり、EVを導入したりすることもカーボンニュートラルに貢献することにつながります。たとえ小さなことでも、私たち一人ひとりができることを考え、実践していくことが子どもたちの未来を守るための大きな力となるのです。「OUR GREEN」が目指す「我慢せず、無理にがんばらなくてもよいカーボンニュートラル」をより多くの人に知っていただき、新たな組合員や賛同いただける仲間を増やしていくことが、カーボンニュートラル達成の近道になると信じています。

PageTop