経路充電を前提にEVは導入できる?
充電インフラの課題に向けたNCS千葉支店の取り組み

日本カーソリューションズ株式会社

業種:リース・レンタル、コンサルティング
導入サービス:EV導入
導入効果:環境・脱炭素

導入の背景
・日本カーソリューションズ(NCS)は、企業理念として、環境負荷の低減を企業活動の重要なテーマとして掲げる中で、自社の社用車に関する規程を改定。オフィスビル駐車場に充電スタンドが設置されていなくても、部支店の判断でEV導入を可能にした
・お客さまの間でEV導入に対する関心が高まるなか、自ら営業活動で利用することにより、EVの使用感や充電方法などEV運用時における問題点を検証するためにEVを導入
導入時の課題
・千葉支店が入居するオフィスビル駐車場に充電スタンドの設置を決めるも、ビル施設側の理由により工事実施日が遅れてしまうことに。まずは、経路充電を前提にしたEV導入を決断
導入時の課題解決/効果
・EVを利用する際の充電ルールを定めるとともに、お客さまを訪問する際は近隣の充電スポットをあらかじめ検索。充電の待ち時間を利用して、お客さまへの連絡やメールチェック、商談の準備を行うなど、空き時間を有効活用
・実際の体験談を交えて商談に臨むことで、お客さまの課題を解決するための具体的な施策や運用方法を提示できるように

お客さまに寄り添うために
企業理念の立ち上げを機に、EV導入を推進

 私たち日本カーソリューションズ(NCS)は、カーリースの枠にとどまらずクルマに係わる多種多様なソリューションを提供するモビリティパートナーを目指しています。多種多様なお客さまをトータルにバックアップすることにより、地球環境に優しく安全かつ効率的なモビリティ社会の実現に貢献し、お客さまと社会に「安心」と「信頼」を提供することを大切にしています。2024年には理念体系を整備し、「わたしたちは、モビリティに係わるソリューションの提供を通じて、お客さまと自らの持続的成長を追求するとともに、社会・経済の発展と環境保護に貢献します」という企業理念を立ち上げました。

日本カーソリューションズ(NCS)の理念体系


 時代の新しい波は、モビリティのあり方を大きく変えています。SDGsの達成に向けた取り組みの一環として、カーボンニュートラルへの取り組みに対する関心が高まっており、これまで以上に課題解決能力が求められています。当社はその中でも環境保護の分野にてお客さまにより寄り添うために、EV・PHEVの利便性と課題点を体感することにしました。それに伴い、社用車の規程を改定することでオフィスビル駐車場の充電スタンド設置の有無にかかわらず、部支店の判断でEV・PHEV導入を推進しております。

 日本カーソリューションズ(NCS)は、北海道から沖縄まで全国約40拠点で事業を展開しています。各部・支店でのEV導入を進めるために、まずは入居するオフィスビルに「充電スタンド設置の有無」「無しの場合の設置工事の可否」を調査したところ、すでに他テナント企業が充電スタンドを設置しており、かつ前向きな反応を示していただいたのが千葉支店の入居するビルでした。充電スタンドの設置工事を進めるにあたり、問題となったのが工事日です。というのも、設置工事日を年1回の全館停電日に合わせる必要があり、充電スタンドの設置がEVを導入するタイミングに間に合わなかったのです。しかしながら、千葉支店の周辺にはEVの充電スポットが多いことから、まずは経路充電を前提にEVの導入を前倒しすることになりました。

充電スタンドの場所・充電の待ち時間といった課題が浮かび上がる

 近年、バッテリー性能の向上による航続距離の伸長や充電設備のネットワーク強化により、EVの利便性は格段に高まっています。脱炭素社会実現への具体的なアクションを主として、災害時にEVを電源として活用する社会貢献に用いられたり、また社用車のエネルギーコストを抑える施策に活用されたりなど、社用車のEV化を検討するお客さまも増えています。その一方で、充電インフラや車両価格に関して懸念を抱くお客さまが多いのも事実です。そこで、EVを実際の業務で使用し、その効果や課題を検証することで、お客さまへの提案活動に生かしたいという想いから経路充電を前提にしたEV活用に踏み切りました。

 はじめは運転操作方法や充電方法がわからず、さらに航続距離も実走行でどれくらい走れるのか不安がありました。特に不安だったのが、充電スポットの問題です。千葉支店の担当エリアは千葉県全土と茨城県の一部を担当しています。千葉県の総面積は5,157k㎡と、東京都・神奈川県を合わせた面積を上回り、訪問先が銚子市や館山市となると、片道100kmを超えることもあります。千葉支店が位置する海浜幕張周辺には充電スポットが増えているものの、市外に出ると電欠の心配が常に付きまといます。

 さらに、充電スポットによっては急速充電スタンドがなかったり、せっかく見つけたスポットに先客がいた場合は、充電し終えるまでに多くの時間を費やすことになったりします。充電スポットをいかにして見つけるか、また充電の待ち時間をどのように過ごすかが課題でした。

実際にEVを運用することで、お客さまの視点で提案できるように

 電欠の不安を払しょくするために、まずは千葉支店から徒歩圏内の充電スポットを検索したところ、3箇所見つかりました。これらのスポットを拠点として営業活動でEVを使用する際には、帰社するタイミングでバッテリー残量を確認。車種ごとに充電をするルールを設定しました。具体的には日産「リーフ」は70%を切ったら充電、日産「サクラ」は毎回充電するよう営業メンバーに周知しました。さらに、営業先での充電スポットの課題については、メーカー純正のカーナビで検索することができ、難なく解決することができました。特に初めて訪問する場所は土地勘もなく、またガソリンスタンドのようなわかりやすい看板があるわけではないため、不安になる方が多いと思います。事前にネットで検索する、もしくはメーカー純正のカーナビで検索しておくことをおすすめします。

写真左から日本カーソリューションズ(NCS)
第四営業本部千葉支店 支店長 平田 誠
サブマネージャー 平光 絢也

写真左から日本カーソリューションズ(NCS)
第四営業本部千葉支店 支店長 平田 誠
サブマネージャー 平光 絢也

 
 充電はバッテリーの残量に応じて、30〜60分の充電時間を要するため、時間の余裕が必要です。営業メンバーの工夫として、充電の待ち時間を利用し、お客さまへの連絡やメールチェック、商談の準備を行ったり、サービスエリア等では昼食や休憩の時間にあてたりと、時間を有効活用している様子が見受けられました。また、充電スタンドの故障など予期せぬ事態に備えて、1エリアで数カ所の充電スポットを把握している営業メンバーもいました。

 現在は、往復180kmであれば「リーフ」を使用し、往復100kmであれば「サクラ」というように、訪問先までの距離に応じて使い分けています。実際に社用車として運用したからこそ、EVの課題や活用方法をノウハウとして蓄積できたことは大きかったです。ランニングコスト、充電場所、充電時間、活用方法など、これらを実績として提案に加えています。その結果、より具体的にEVを理解することができ、自信を持って商談に臨めるようになりました。またEV導入に関心の高いお客さまにはデモ車として現車をご案内しており、EV提案の理解が得られやすくなったと感じています。
 さらに千葉支店では航続距離や充電スポットに不安を感じているお客さまには、周辺の充電スポットをマークしたマップをお渡しするなどして、不安の払しょくに繋げています。

周辺の充電スポットがマークされている地図画像

周辺の充電スポットをマークして、お客さまへ案内を行う(イメージです)

 
 千葉支店は、営業メンバーによって担当エリアが異なるため、ルートの計画や作成はしていません。反対に、お客さまを定期的に訪問するルートセールスのような業務であれば、バッテリーの残量に応じたルートの作成をすることができます。駐車場の構造や電源、スペースの問題で、充電スタンドを設置できないためEVの導入を断念するという方もいらっしゃると思いますが、充電スタンドを設置せずに経路充電を前提にしたEV導入は不可能なことではないと思います。

企業イメージの向上にもつながるEV
「各部支店に最低一台」を目指してEV推進を図る

日本カーソリューションズ(NCS)総務部長 深井 利明の写真

日本カーソリューションズ(NCS)
総務部長 深井 利明



 経路充電を前提にしたEV導入を体験してみると、思っていたほど煩雑ではないという印象でした。それよりもEVの乗り心地、特に高速道路においては合流地点まで短い距離でも十分に加速し、低振動で営業メンバーのストレスも軽減できます。また、従来のガソリン車のような排気音を出さないので、都市部や住宅地等でも気にすることなく運転できると思います。自分たちで実感したメリットを、より多くのお客さまに伝えていくことで、EVの導入、ひいてはCO2削減、BCP対策強化・地域貢献につながっていくのではないかと考えています。

 日本政府は「2035年までに、乗用車新車販売で電動車100%」という目標を掲げ、インフラ整備を進めています。当社も社用車規程を改定し、オフィスビル駐車場の充電スタンド設置有無にかかわらず現場判断によるEV導入を推進しています。EVをお客さまの駐車場に停めさせていただくことも多く、お客さまの興味関心および当社の企業イメージの向上にもつながっていると思います。今後も当社はクルマを通じた環境貢献などユーザーインの視点でモビリティに関する総合ソリューション企業としてサービス品質の向上とサービスの提供に努めてまいります。

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