大和ハウス工業が手がける物流施設ブランド「DPL」の価値向上に貢献するEVバスソリューション

大和ハウス工業株式会社さま

建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室長
手塚 公英氏

業種:建設
導入サービス:EV導入
導入効果:環境・脱炭素/コスト最適化

導入の背景/課題
・物流施設の増設に伴い、送迎バスの増車を検討
・EVバスのメンテナンスや運行に関してワンストップでサポートしてくれる会社が必要
選んだ理由
・EVバスの選定から運行会社の選定まで、ワンストップで対応するEVサービス
・循環EVバスを運行する株式会社協同バスの実績
導入の効果
・カーボンニュートラルに向けて、具体的な行動をとることができた
・施設としての価値向上を図ることができた


大和ハウス工業株式会社は1955年の創業以来、工業化建築のパイオニアとして、戸建住宅や賃貸住宅、ショッピングセンター、オフィスビル、病院など、人々の暮らしをより豊かにするさまざまな建築物を創り上げてきました。2022年には「生きる歓びを、未来の景色に。」という大和ハウスグループのパーパス(“将来の夢”)を策定。2055年の創業100年に向けて、人々の「生きる」が地球と豊かに調和し、一人ひとりが自分らしく、おたがいが認め合い、活かしあい、輝きあう世界の実現を目指しています。

物流施設の増設に伴い、通勤者用の送迎バス増車を検討していた

写真左から 株式会社協同バス 代表取締役社長 鈴木 貴大氏
      大和ハウス工業株式会社 建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室長 手塚 公英氏

写真左から 株式会社協同バス 代表取締役社長 鈴木 貴大氏
      大和ハウス工業株式会社 建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室長 手塚 公英氏



「大和ハウス工業」というと、住宅メーカーのイメージを持たれる方も多いと思います。2002年からは物流施設の設計・施工に加えて、物流最適地の提案から維持管理に至るまで、お客さまの事業スキームに合わせて専用の物流施設をコーディネートする物流プロジェクト「Dプロジェクト」を開始。さらに、立地条件の良い場所に複数のテナントが入居できるマルチテナント型の物流施設も展開し、大和ハウス工業が開発する物流施設ブランド「DPL」の開発を強化しています。

「DPL坂戸Ⅰ」「DPL坂戸Ⅱ」「DPL坂戸B」は、東京都心から50km圏内の埼玉県坂戸市に位置する物流施設です。関越自動車道「坂戸西スマートIC」に隣接する本施設は、東北自動車道や中央自動車道、圏央道などの幹線道路へのアクセスも容易で、「物流の2024年問題」解決の一翼を担う中継物流施設としての機能を持っています。約20万平方メートルの敷地内に5区画からなる物流施設を順次建設し、2023年には「DPL坂戸Ⅱ」を竣工しました。

「DPL」への入居を検討するテナント企業にとって、公共交通機関から物流施設までの距離は最も重要な条件のひとつ。通勤の利便性を高めるために、これまでも「DPL坂戸Ⅰ」⇄東武東上線・坂戸駅間で送迎バスを1台運行させていましたが、「DPL坂戸Ⅱ」の開設に伴って送迎バスの増車を検討していたところ、NCSからEVバス導入の提案をいただきました。


イニシャルコスト&ランニングコストの削減とEVバスの運行を一体化した提案が導入の決め手に

大和ハウス工業株式会社 建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室長 手塚 公英氏の写真

NCSからいただいた提案は、乗車定員39名のディーゼルバスを1台増車して2台体制にするのではなく、乗車定員80名のEVバス1台でカバーするというもの。大和ハウスグループは、2050年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すカーボンニュートラル戦略を推進しており、社用車においては2030年度までにクリーンエネルギー自動車(CEV)率100%を目指すなど、EV導入に積極的に取り組んでいます。EVバスはディーゼルバスと異なり、電気を燃料として走行するため排気ガスを排出しません。環境にやさしい自動車であることは理解していましたが、「EVバス」ともなると、国内での導入事例が少なく、またディーゼルバスと比べて車両本体の価格も決して安くはありません。さらに、自社でメンテナンスや運行に関するノウハウを持っていないため、EVバスの導入は時期尚早ではないかと考えていましたが、NCSからEVバスに関する魅力的な提案をいただき、導入に踏み切りました。

NCSの提案のポイントは、補助金を活用することでEVバスのイニシャルコストを抑えられること、また大型バスを導入して輸送定員を倍増することで、ランニングコスト(1名あたりの輸送費用)を現行比で30%削減するというもの。何よりも不安であった車両のメンテナンスや日々の運行は、埼玉県久喜市で循環EVバスを運行する協同バス様が担っていただけることに大きなメリットを実感。EVバスの選定から補助金の申請、メンテナンス、バス運行会社の選定までをワンストップで対応するEVバスサービスに魅力を感じるとともに、EV化推進とコスト削減を両立するというNCSの提案がEV導入を決めた理由です。


EVバスを導入することで通勤の「快適性」をアップ
「走る蓄電池」としてBCP対策にも貢献

株式会社協同バス 代表取締役社長 鈴木 貴大氏の写真



私たち株式会社協同バスは埼玉県行田市に本社を置くバス事業者で、スクールバスや通勤送迎バス、コミュニティバスの運行実績に加えて、環境にやさしいCNG(天然ガス)バス・EVバスの導入を推進しています。今回導入したのは中国BYD社製のEVバス。すでに私立女子校のスクールバスや久喜市内を循環するコミュニティバスでの運行実績があり、当社にはEVバスのウィークポイントである航続距離に関するデータの蓄積やメンテナンスのノウハウもあります。特に送迎バスは1日の便数が決まっているため、1回の充電で走行できる航続距離も計算しやすく、バッテリーの劣化を予測することも可能です。大和ハウス工業様に導入いただいたEVバスは現状の運行状況・実態を踏まえると、リース期間終了までバッテリーを交換しなくても運行することができると考えています。

EVバスの魅力はなんと言っても静粛性。今回導入したEVバスは大型ですが、ディーゼルバス特有のエンジン音や振動はほとんど感じられず、運転席からでも後部座席に座っている方の会話が聞こえるほど静かです。また、従来のバスはアイドリングストップの際にエアコンを一時的に停止しなければなりませんでしたが、EVバスは停車時もエアコンの作動が可能なため、真夏・真冬でも快適にお過ごしいただけます。

EVは排気ガスを排出しないため、CO₂排出量の削減など環境負荷の軽減につながります。EVバスを走らせることでCO₂を継続的に削減することができ、EVバスの導入は、大和ハウス工業様がカーボンニュートラルを目指す上で、大きな後押しとなるはずです。

また、EVは「走る蓄電池」とも言われ、自然災害や大規模停電で電気の供給が止まったとしても、バッテリーに蓄えられた電力を非常用電源として活用することができます。本EVバスにはコンセントプラグとUSBポートが標準で装備されているため、変換器などを用いずに電化製品に給電することができます。EVバスはBCP対策にも有効と言えるでしょう。


EVバスの社内に設置されたコンセントプラグから電化製EVバスの社内に設置されたコンセントプラグから電化製品に給電する写真左とスマホをはじめさまざまな電子機器の充電に便利なUSBポートの写真右。

EVバスの社内に設置されたコンセントプラグから電化製品に給電することも可能(写真左)
スマホをはじめさまざまな電子機器の充電に便利なUSBポートも搭載(写真右)

社用車100%クリーンエネルギーに向けてEV導入に積極的に取り組む

マルチテナント型物流施設「DPL」の写真



EVバスを導入したことで、大和ハウスグループとして、カーボンニュートラルへ向けた具体的な行動をとることができました。近年、企業の環境負荷に対する関心が高まりを見せる中で、多くのテナント企業様がEVバスの導入に好意的です。入居を検討する企業様からの問い合わせも増えており、施設としての価値向上につなげることができたと実感しています。

当社のマルチテナント型物流施設の「DPL」は全国に約120カ所あります。今後は本導入事例をもとに、「DPL坂戸Ⅰ」「DPL坂戸Ⅱ」以外の「DPL」へも展開していきたいです。大和ハウスグループが目指す社用車100%クリーンエネルギー自動車化に向けて、NCSには車両導入のさらなる支援を期待するとともに、来客者や通勤者向けのEV充電器設置などについても支援いただければと考えています。

2023年4月に大和ハウス工業と埼玉県坂戸市は、「災害等における一時避難施設としての使用に関する協定書」を締結しました。地震や豪雨、台風による洪水や停電などへの備えとして、「DPL坂戸Ⅰ」「DPL坂戸Ⅱ」「DPL坂戸B」の共用部分を一時避難場所として提供するとともに、駐車場として敷地内の一部スペースを提供するというものです。カフェテリアなどの共用部では、非常用発電機や太陽光発電システムからの電力をご利用いただけます。坂戸市が物流施設を災害応急対策として使用する協定を締結するのは、当社が初めてです。EVバス導入をはじめ、今後も行政との連携を強化し、地域の安全・安心の確保に努めていきたいです。


EVバスの写真
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